【キーマンズ・インタビュー】アジアトップを目指すイオンの人材戦略--入井啓之・イオングループ人事戦略チームリーダーに聞く

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次に最近の取り組みだが、イオングループとしての企業説明会を東京と大阪で開催し、約5000人の若者が参加した。そして国内だけでなくイギリス(ロンドン)、米国(ボストン、ロサンゼルス)、中国(北京他)などの6カ国の都市でも企業説明会を実施した。今年はさらに拡大し、中国の深セン、河南などの都市、マレーシア、タイ、ベトナムなどの都市でも実施していく予定だ。

大学とのパートナーシップ強化にも取り組んでおり、ベトナムのホーチミン市人文社会科学大学とパートナーシップ締結を行い、奨学金制度「イオンスカラシップ」をスタートし、60名の学生に奨学金を付与した。

--異なる文化で育った若者にイオンの基本理念は浸透しますか?

イオンの基本理念や行動規範は、英語、中国語、マレー語などに訳し、各国のグループ会社従業員への浸透をはかっている。また、「ありがとう」という気持ちの大切さを伝える、おちまさと氏の『ありがとうの約束』という絵本で理念教育を行っている。

「ありがとう」という言葉は世界のどの国にもあり、文化、習慣の違いはあっても、同じように共感できる。そのほか小売業で働く上での素養やスキルも必要であるので、教育プログラムとして確立している。

--グローバル化の進行は、必然的に人事の役割を変えていくと思います。イオンの人事はどの方向に向かっていますか?

これまでの人事の役割は管理にあり、内向きだったと思う。これからの人事は、経営計画達成の担い手の中心とならなければいけないと思う。現在は、戦略的人事に転換する曲がり角に立っている。戦略的人事は、人的資源のパフォーマンスを創出するものであり、企業価値向上をめざし人事ドリブンしていくイメージだ。


入井啓之
グループ人事戦略チーム リーダー。1987年 ジャスコ株式会社(現イオン株式会社)入社、1998年 近畿カンパニー人事課長、2001年 西日本カンパニー管理部次長、2007年 戦略部マネージャー、2008年 株式会社イオンボディ代表取締役社長、2011年現職

(聞き手:HR総合調査研究所(HRプロ) ライター:佃光博=東洋経済HRオンライン)

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