超実践的!大人を唸らせるハーバードの授業 あの有名な「白熱教室」は一断面に過ぎない

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私は「チーム・メキシコ」のメンバーとしてアメリカ、ナイジェリア、ルワンダの生徒らとグループを組んでいる。日本から来たというだけで、「ホンダやパナソニックの国なら製造業に詳しいだろう?」と言われ、メキシコの工業分野を担当することになってしまった。

ほかのクラスメイトも日本、アメリカ、中国、EUなど13の国・地域に分かれ、11月中ごろに丸一日をかけて多国間交渉に臨む。経済学では正しいとされているTPP(環太平洋経済連携協定)のような自由貿易がなぜもめるのか、頭だけでなく体でも理解せさようとする狙いがある。

生徒が選べる授業は実に5000種類!

今年ケネディスクールが開く授業は約300。学生はビジネスやロー、教育、パブリックヘルス(公衆衛生)、工学、神学などの各大学院、ハーバードカレッジとよばれる学部、学者を目指すものが学ぶ博士課程(PhD)の授業も受けられる。さらに親交の深いマサチューセッツ工科大学(MIT、ハーバードから地下鉄で2駅)など他大学の授業も取れる。すべてを合わせると、選択肢だけで優に5000は超えるだろう。

だが実際に取れる授業はせいぜい年間10ほど。予習や復習、ほかの生徒と共同で取り組むグループワークなどをこなしながらだと、これが限界だ。キャリアの途中で貴重なカネと時間を使い、受けられる授業数がこれだけとなると、選ぶほうは必死にならざるをえない。

だから授業を選ぶ際に、「いま何を学ぶべきで、学ぶべきではないのか」、「私はそのキャリアを本当に望んでいるのか」と自らに問うことを迫られる。こうして、大人のハーバード生たちは、迷いながらも自らの生き方をつねに問い、少しでも正しい答えに近づこうと模索している。

今のあなただったらどんな授業を選ぶだろうか。これからのキャリアや人生に何が必要で、何が要らない?そうやってハーバードの授業を眺めてみるのも面白いかもしれない。

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