HISが今になって中国の旅行業者と組む事情

インバウンドは実は追い風ではなかった!

合弁会社設立の調印書を交わすHISの平林社長(左)とLY.comの呉志祥社長

「こんなに伸びている市場は世界にない」――。旅行業界大手HISの平林朗社長は、中国で爆発的に成長する海外旅行需要をそう評価する。

HISは11月4日、中国のオンライン旅行会社LY.com(現地名:同程国際旅行社)と合弁会社を設立すると発表した。日本に共同で会社を設立。HISが訪日外国人客(インバウンド)向けの商品を企画し、LY.comが持つ中国の旅行予約サイトで販売をする。そのほか、コールセンターの設置やHISが世界62カ国に持つ支店網の活用も検討する。

インバウンドの取り込みに本腰

実はこうした動きは他社でも広がっている。国内最大手のJTBは、10月28日にソフトバンク傘下の中国アリババと提携を発表。今月11日からアリババの旅行販売サイトに「日本汐留旅行旗艦店」を開設し、同社のネットサイト上でパックツアーの販売に参入した。クラブツーリズムはインバウンド専門サイト「YOKOSO Japan Tour」を設立し、需要の取り込みを本格化させている。

こうした動きの背景には「旅行業界にとってインバウンドが逆風になっている」(中堅旅行会社の首脳)という現状がある。

2015年1~9月の訪日外国人数は前年同期比48.8%増の1448万人。2012年が通年で835万人だったことを考えれば、驚異的な成長といえる。特に中国人観光客は今年1~9月累計で383万人と、前年同期比で114%増と2倍以上になっている。

彼らによる”爆買い”や宿泊需要を取り込んだホテルや百貨店、航空会社などは好調な業績を謳歌してる。ところが、旅行業界には恩恵が少ない。外国人と日本人の旅行客が国内外で航空券やホテル、バスツアーの争奪戦を繰り広げているからだ。

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