タカタ、エアバッグ問題で招いた本当の危機 一時的な損失計上では済まない可能性も

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11月4日の会見で頭を下げる高田重久会長兼社長(中央)

「資金繰りは大丈夫か?」「金融機関への支援要求は?」

遠慮なくぶつけられる記者の質問に、タカタCFOの野村洋一郎取締役は憮然とした表情でこう語った。

「資金繰りは問題ないし、心配していない」

エアバッグの大規模リコール問題に揺れるタカタが、11月6日、2015年9月中間決算を発表した。

中間期は、売上高が19%増の3593億円、営業利益も32.8%増の195億円と増収増益。しかし、リコール関連の特別損失計上により、最終利益は55億円の赤字となった。

巨額の損害賠償請求が懸念される

タカタの自己資本比率は約3割、現金同等物も600億円以上ある。2016年3月期の通期予想では、営業利益は2割増の400億円、特損を吸収して純益は50億円の黒字を見込む。本来なら資金繰りを不安視する状況ではないはずだ。

それでも、タカタの先行きに対する不安は消えない。

全世界で2000万~3000万台規模となるリコール費用について、「不具合の原因究明はまだ。費用はまだ見積もれない」(野村取締役)という理由で計上していない。この先は巨額の損害賠償請求も予想される。最悪の場合、手元資金や自己資本が瞬間蒸発するリスクがある。

 賠償などの一時的な損失だけではない。足元で好調な本業についても懸念が生じている。

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