タカタ、エアバッグ問題で招いた本当の危機 一時的な損失計上では済まない可能性も

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先代の高田重一郎氏が高めたタカタブランドが、足元で崩れかかっている

しかし、将来的にはどうか。これまでは、エアバッグで相次ぐリコールを起こしても、タカタの技術力を評価する声は自動車メーカーから数多く聞こえ、タカタ離れは考えにくかった。

かつてタカタは、エアバッグの開発にいち早く着手。高田重久会長兼社長の実父で、社長を33年務めた故・高田重一郎氏は、2005年に自動車の安全に対する貢献が認められて部品メーカーで初めてNHTSAの特別功労賞を受賞しているほどだ。

しかし、積み上げてきた信頼感は急速にしぼみ始めている。自動車メーカーの姿勢の変化を象徴するのが、ホンダが11月3日に米国で出した声明だ。

最大顧客のホンダが厳しく批判

「テストデータを誤って伝える、または不適切な報告を行っていた」「タカタによるこのような行為に大変困惑しています」とタカタを非難。ホンダはタカタにエアバッグ開発を依頼した歴史的経緯もあり、タカタの最大顧客かつ大株主でもあるが、特に英文ではかなり厳しい表現を使っている。

前述のように、自動車メーカーによる硝アン使用のインフレーターを不採用とした表向きの理由は、タカタが製造中止を決めたからだ。が、先に自動車メーカーが硝アンにそっぽを向き、タカタは仕方なくあきらめたというのが実態だ。

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