中国減速が多国籍企業に迫る「戦略の再考」 国際的企業にとって「天の恵み」だったが
[上海/チューリヒ 6日 ロイター] - 中国経済の減速により、多国籍企業は世界第2位の経済大国である中国を、先進国市場のように扱うことを余儀なくされている。もはや利益を求めて同国にまい進することはなく、事業のプレミアム化や、人材投資による生産性の向上を図ったりしている。
過去10年の大半で、世界経済成長の主な原動力であり続けた中国は、他の経済国が苦境にあえぐ中、利益押し上げを求める国際的大企業にとっては「天の恵み」だった。
しかし中国政府は現在、習近平国家主席が「ニューノーマル(新常態)」と呼ぶ、より持続可能な成長へと自国経済のリバランスを図ろうとしている。2015年の成長率が約7%と、四半世紀ぶりの低水準になるとみられる中、多くの企業が今期の決算で業績不振の理由に中国を挙げている。
「われわれは新たな段階、成長鈍化を伴うニューノーマルに突入した。これはビジネスの活力や見通しを変える」と、米自動車大手フォード・モーター<F.N>の中国法人フォード・チャイナのジョン・ローラー最高経営責任者(CEO)は、上海で開催された米企業会議で語った。
過去数週間で、軟調な売上高や業績の下方修正を中国の弱い需要が原因だとする企業は、英高級品ブランドのバーバリー<BRBY.L>や「ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」などを展開する米ファストフードチェーン大手ヤム・ブランズ<YUM.N>、米コンピューターサービス大手IBM<IBM.N>や日本の産業用ロボットメーカー安川電機<6506.T>など多岐にわたる。
10月に発表された日本の9月貿易統計では、輸出が伸び悩み、予想外の赤字になる一方、韓国第3・四半期の輸出は前期比0.2%減と、1年ぶりのマイナスに。両国とも中国経済の減速が影響している。
建設や鉱業関連企業が最も危機感を感じている。米重機メーカーのキャタピラー<CAT.N>は、最大1万人の人員削減を計画しているほか、2016年の設備投資予定額が2012年の水準の半分以下になるとしている。また、米航空機エンジン・機械大手ユナイテッド・テクノロジーズ<UTX.N>は、同社の中国事業が来年15%落ち込む可能性があると予想している。