中古マンション購入は「ヴィンテージ」を狙え うわべより建物の骨格と空間に目をつけよ

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ヴィンテージ物件といえる中古マンションは、港区や渋谷区などの高級住宅街に多く存在する
今の日本において、新築マンションは着工数が減少しているだけでなく、施工不良案件が増えるリスクがある。新築マンションを買えない時代となりつつある中で、失敗しない家を選ぶにはどうしたらいいのか。大手住宅商品開発者を経て現在建築事務所APOLLOを経営する黒崎敏氏は、選択肢の一つに中古マンションを選ぶことを挙げる。そこで今回は、価値が落ちない中古マンションの選び方をしっかり伝授してもらおう。
         第1回 新築マンションを買えない時代がやってきた

前回、新築マンションはもう買えない時代が来ていると述べた。しかし、マンションにまったく手が出ない、ということでは決してない。買うのであれば、新築よりもむしろ中古を狙いたい。とりわけお勧めしたいのはヴィンテージマンションだ。一般に、ヴィンテージマンションとは築後数十年たっても高い価値を保ち続けているマンションを指す。代表的なのがホーマットブランドや広尾のガーデンヒルズ、前の東京五輪時に建てられたヴィラシリーズなどのマンションだ。

円滑化法成立でも建替えが進まない

ただし、多くの大規模ヴィンテージマンションは現在建て替えという難問を抱えている。東京五輪時の1964年頃に建てられたマンションは、建て替え議決済の物件も多い。建て替えに際して建て増した部分を新たに販売し、その売却益を建て替え資金に組み込むことができるように、マンションの容積率を緩和する建替え円滑化法も成立している。にもかかわらず、実際には建て替えは遅々として進んでいないのだ。

主な理由は、人が足りず、工賃や資材が高くなり、工事費全体が高騰しているためだ。一部、旭化成不動産レジデンスのように所有者の合意形成力を武器に特化して建て替え事業を行う企業もあるが、大手にはまださほど活発な動きがみえてこない。

本来であれば建替え円滑化法は、マンション建て替えの起爆剤になるはずだったが、現実はそうなっていない。種は沢山あるのにまだ実がなっていない、そんな状況だ。だが、理事会で建て替えの議決が通っているところは、優れたマンションと見ていいだろう。住民の意識が高く、コミュニティーの意志統一ができている証拠であり、それらはお金には代えられないポジティブファクターだからだ。

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