飛行機「乗り放題」は航空ビジネスを変える

飛行機やパイロットも所有せず

ライズのニック・ケネディCEO(右)と、顧客のベン・ラム氏(左)(写真: Brandon Thibodeaux/The New York Times)

ソフトウエア会社カオティック・ムーン・スタジオの最高経営責任者(CEO)ベン・ラムは、本社のあるテキサス州オースティンと新オフィスのあるダラスをもっと短時間で行き来したいと思っていた。

「快適な日は一度もなかった」と語るラムは、約200マイル(約322キロメートル)の距離を、渋滞や工事の影響もあって5時間かけてドライブしていた。かといって飛行機は駐車や保安検査に時間がかかるのが難点だ。何より時間通りに到着するかわからない。

そんなラムがこの夏から利用し始めたのが、「ライズ」という新しい飛行機のサービスだ。月額1650~2650ドルの会員になれば、オースティン、ダラス、ヒューストン、ミッドランドというテキサス州の4都市を無制限に行き来できるというものだ。

ライズは航空機を1機も所有していない。フライトに使用するのは8人乗りのビーチクラフト・キングエア350で、チャーター機の運航会社からリースしている。機体にはライズのロゴが描かれ、プライベートジェットのターミナルから離陸する。同社によれば、乗客は出発時間の数分前までに搭乗すればよく、無料の駐車サービスにWi-Fi、スナック、乗り継ぎをサポートするコンシェルジュのサービスも提供している。

「飛行機のシェアリングエコノミーだ」と、ライズのニック・ケネディCEOは言う。「私たちは飛行機の座席を売っているのではない。会員に時間を売っているのだ」

窮屈さや遅延とはおさらば

民間航空機がますます混雑し、遅延が増えるにつれ、会員制のサービスは裕福なビジネス旅行者の注目を集めている。

飛行機の会員制サービスは、2013年にカリフォルニア州サンタモニカの航空会社サーフ・エアが開発した。カリフォルニア州内の都市を結び、300人でスタートした会員数は2100人まで増えた。「会員による紹介だけで拡大している」と、サーフ・エアのジェフ・ポッターCEOは言う。

ライズとは異なり、サーフ・エアはピラタスPC-12を所有またはリース後に買い取る形で12機保有している。2年前はわずか3機だった。乗り放題の会員料金は月1750ドルからで、入会金が1000ドルかかる。

ライズや同様の会員制サービスを提供する新興のビーコンは、この分野の「次の段階」まで進んでいると自信を見せる。

「当社はセールス&サービス会社だ」とビーコンの共同創業者兼CEOのウェイド・アイアリーは言う。ビーコンはニューヨーク州のウェストチェスター・カウンティ空港とボストンのローガン国際空港をつないでいる。アイアリーは、以前はサーフ・エアの共同創業者兼初代CEOという立場にあり、このビジネスの進化をじかに見てきた。ビーコンは月2250ドルで乗り放題を提供している。

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