無声映画でフランス初のオスカー--映画『アーティスト』監督 ミシェル・アザナヴィシウス

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米国映画の1年間の最高傑作を選ぶ、アカデミー賞。受賞者に贈呈される像の名前から「オスカー」の別名を持ち、世界最高の映画賞として知られる。そのオスカーで、最優秀作品賞や監督賞など5冠を獲得したのは、全盛を極める3D作品ではなく、モノクロのサイレント(無声)映画『アーティスト』だった。

舞台は、1920年代後半の米国・ハリウッド。主人公はサイレント映画に固執する人気俳優と、音声付きトーキー映画の時流に乗り、スターの階段を駆け上がる若手女優の2人だ。主流がサイレント映画から音声付きのトーキー映画に移行する中、2人の甘く切ない恋を描いた作品だ。

古典的な手法にもかかわらず、映画の醍醐味を存分に見せつけた『アーティスト』のメガホンを取ったのは、フランス人のミシェル・アザナヴィシウス監督だ。“フランス”初のオスカー受賞監督に、作品の発想の原点などを聞いた。

──『アーティスト』がオスカーを獲得した要因はどこにあると思いますか。

投票者ではないので、なぜ評価されたのかはわからない。ただこの映画は、古典的なところがある中にも現代性がミックスされている。それが人の心を引き付けたのではないか。ストーリーがシンプルなことも功を奏したと思っている。もう一つ、おカネをかけずに作ったら、期待以上のものができたというサプライズ効果があった。市場マーケティングなど売れる作品作りをしなかったことも幸いしたのではないか。

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