「老いの境地」、56歳・浜田宏が金融市場に挑む デル、HOYAでの経験を活かせるか

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フラット35の販売実績で首位を誇っている(撮影:今井康一)
日本初のモーゲージバンクとして、2000年6月に創業したSBIモーゲージ(現アルヒ)。SBIグループの1社として発展をしてきたが2014年8月に大株主の異動があり、カーライル・グループ傘下のCSMホールディングスが筆頭株主になった。2015年1月にはデル日本法人社長や、HOYAの最高執行責任者(COO)などを務めた浜田宏氏を顧問に招聘。5月からは、アルヒへの社名変更にあわせて、浜田氏が会長CEOに就任。9月からは会長兼社長 CEO兼COOとして、経営の最前線で陣頭指揮を取っている。IT業界などで培った経験をもとに、安定志向が強い金融市場に風穴を開けることはできるだろうか。同氏へのインタビューを前後編でお届けする。

住生活プロデュース企業へ挑む

――アルヒの特徴とは?

アルヒは、日本初のモーゲージバンクです。モーゲージバンクとは、証券化を資金調達手段とした住宅ローン貸し出し専門の金融機関であり、2004年12月からは、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)と提携して、35年間の長期固定金利住宅ローン「フラット35」の取り扱いを開始しています。

「フラット35」のすべての取り扱い金融機関のなかで、累計実行件数10万件を最速で達成し、現在、「フラット35」の取り扱い件数全体の約4分の1を当社が占めています。「フラット35」で、2位に約2倍という大きな差をつけて、5年連続でトップシェアを維持しています。

しかし、アルヒは、創業時からのモーゲージバンクとしての住宅ローン専業会社に留まっている気はありません。われわれが目指しているのは、「住生活プロデュース企業」。そこに魅力を感じて、この会社の社長を引き受けました。

――住生活プロデュース企業とは?

当社は、住宅ローン専業会社としては最大手ですが、よくよく考えてみると、住宅ローンそのものに魅力を感じて、借りに来る人はひとりもいません。住宅ローンを借りる理由は、当然のことながら、家を買うためです。つまり、この事業の本質は、単におカネを貸すだけでなく、お客様に良質な家を購入してもらうというところにあります。

それならば、そこまでお手伝いすることができる企業に踏み出すというのが自然ではないでしょうか。家を買う背景には、結婚だったり、子どもが産まれたり、子どもが巣立っていったというように、人生を新たなフェーズに進める重要なイベントに関連することになる。そうしたところにも踏み込んでサービスを提供することができるのではないかと考えたわけです。

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