ビックカメラ、爆買い効果もコジマに食われる コジマのリストラに拍車かける

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コラボ店に改装した効果はあるものの、まだ期待したほどではないようだ

家電量販店業界2位のビックカメラにとって、前期はコジマがお荷物になってしまった。

ビックカメラは10月14日、2015年8月期の決算を発表。売上高は前期比4.5%減の7953億円、営業利益は同6.1%減の188億円と減収減益になった。

足を引っ張ったのは、2012年6月に子会社化したコジマだ。コジマは売上高が前期比13.8%減の2261億円、営業利益は同62.7%減の9億円と大幅な落ち込みぶり。コジマの木村一義社長は「地方の消費環境や家電マーケットが想定以上に伸び悩んだ」と説明する。

コジマは郊外のロードサイドを中心に店舗展開しており、冷蔵庫や洗濯機など買い替えサイクルの長い大型家電の比重が高い。そのため、2014年4月に実施された消費増税前の駆け込み需要の反動減の影響を長く引きずってしまった。さらに、商戦期である夏の気温が今年は想定以上に低く、主力のエアコンが苦戦を強いられた。

ビックカメラ単体では訪日観光客が寄与

一方、ビックカメラ単体では、駆け込み需要の反動減の影響はあったものの、売上高は4448億円と前期比0.7%減に踏みとどまり、営業利益は132億円で同15.9%増と2ケタ増益を持続した。都市部のターミナル駅周辺に店舗を構えるため、訪日観光客の“爆買い”需要を取込むことができ、単価の高い時計や化粧品などの消耗品が絶好調で利幅が改善した。

ビックカメラの宮嶋宏幸社長は、今年4月の東洋経済の取材に対し、「コジマと一緒になったことで、調達面の交渉力は格段に上がっておりメリットは感じている」と話していた。だが、今決算を見る限りその効果よりコジマのマイナスが目立つ。

コジマはかつて業界首位だったが、2002年にヤマダ電機に抜かれて首位陥落。巻き返しを目指したが、ヤマダやケーズデンキの大型店の出店攻勢にさらされ業績は低迷した。単独での生き残りは困難と判断し、2012年6月にビックの傘下に入った。

再建のため、不採算店70店を閉店し、200以上あった店は144まで減らした。前2015年8月期も店舗の減損約10億円を特損に計上している。

残った店舗については、ビック流の専門知識を活かした接客や品揃えなどを移植する「コジマ×ビックカメラ」というコラボ店に改装を進めてきた。8月末までで144店中85店の改装を終えた。前期でいうと、従来型の「コジマ」店の売上高は前々期比で13.5%減に対し、コラボ店の売上高は同8.8%減と減収幅は従来型に比べ小さく、ある程度の改装効果は出ているようだ。

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