1人当たり時価総額が高い300社ランキング 株価の高い企業と年収の意外な関係

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CYBERDYNEの山海嘉之社長(右)とユーグレナの出雲充社長。ユニークな経営者が率いる新興企業の成長性に期待が高まっている(撮影:今井 康一、風間 仁一郎)

10月14日の東京株式市場は、日経平均株価の終値が10日ぶりに1万8000円を割り込んだ。8月中旬以降、中国の景気減速懸念と米国の金融政策の先行き不透明感などを背景にした世界同時株安が進み、その後も株価は安定感を欠いて乱高下する状態が続いている。

日経平均が2万円を超えていたころと比べて、各上場企業の株価は平均的に下がっている。ただ、個別企業ごとに見ていくとこうした局面でも株価を上げている企業も少なくないし、短中期的な株価の上下に左右されず、着実に株価を高めていくような企業もある。

上場企業の価値を株価の大小だけで判断しようとすると見誤る。株価はあくまで発行済み株式数の1株1株に付けられた価格。株価と発行済み株式数を掛け合わせた「時価総額」という考え方を忘れてはいけない。時価総額とは株主が考える企業の値段であり、収益力の高い会社や現金を多く保有する会社、将来の成長性が高い会社ほど高くなる傾向がある。

一方、時価総額はあくまでその企業全体の規模を計るもので、基本的には大企業ほど時価総額は大きくなるケースが多い。では、この時価総額を各企業で働く従業員1人1人が稼ぎ出している価値という視点で見てみると、さまざまな企業を共通の尺度で計れるはずだ。

東洋経済オンラインは、上場企業約3600社を対象に「従業員1人当たり時価総額が高い会社」を独自調査。上位300社のランキングを紹介する。直近(2015年9月30日終値)の時価総額が500億円以上の868社を集計対象として、時価総額を従業員数で割って算出した。平均年収(原則として単独ベース)も併載した。

1位はCYBERDYNE(サイバーダイン)。ロボットスーツ「HAL」を開発・販売する筑波大学発のベンチャーだ。HALは医療・介護のほか建設や物流などの作業支援用などの幅広い分野での活用が期待されており、将来性を見越して株価が高い。2位は、ミドリムシの大量培養技術を開発し、健康食品や化粧品の販売を行うユーグレナ。ミドリムシの培養技術を活かしたバイオジェット燃料の事業化に向けた開発なども行い、将来的な成長が期待されている。

高年収企業が多い理由を考えてみると?

従業員1人当たり時価総額が高い企業の上位と平均年収の関係に着目してみるのも興味深い。上位企業には相対的に高年収の企業が多い。これは従業員1人が生み出す価値の高さ、それに見合って得ている高報酬を株式市場が合理的に判断している証左ともいえる。

CYBERDYNEやユーグレナ、4位のMonotaROのように現在は400万円台と、相対的に見ると平均年収が高くない企業が上位にランクインしているのは2つの見方ができそうだ。一つは、株式市場の期待が高すぎて買われすぎになっている可能性があること。もう一つはやはり株式市場はこれらの企業の中長期的な成長をちゃんと織り込んでいるという見方だ。

つまり、これらの企業は将来的な業績の拡大に伴い、従業員の給料も徐々に上がっていく余地が残されていることを示しているかもしれないということだ。たとえば7位のヒューリックは、東洋経済オンラインが独自に算出した「過去10年で平均年収が増えた会社」(2015年7月28日配信)の1位で、この10年間で平均年収が600万円ほど上がった会社だ。これから就職活動をする学生や、転職を考えているビジネスパーソンなどにとっても、決して見逃せないデータといえるだろう。 

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