スズキ「ソリオ」は、意外に侮れない車だった 新型4代目の競争力を徹底検証

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スライドドアを採用し、狭い場所での乗り降りもしやすい

ソリオは、もともとは軽自動車であるワゴンRの拡幅版「ワゴンRワイド」として1997年に登場したクルマだ。その後、1999年に刷新した2代目は当初「ワゴンR+(プラス)」として売られ、「ワゴンRソリオ」→「ソリオ」と車名を変えながら2010年末まで長く売られた。

ワゴンRワイドはその名のとおり、ワゴンRと基本設計を共用しており、文字通り軽自動車に毛の生えたようなクルマだった。2代目は軽自動車の派生ではなく、小型車として新たに設計されたモデルだったものの、おしなべてそうだったかつてのスズキ車と同じく、率直にいって「安かろう」「悪かろう」なクルマだったのは否めない。

3代目「ソリオ」で品質を大きく向上

そのソリオが大きく品質を向上させたのは2010年末に登場した3代目だ。スライドドアが採用されたのもこのときで、クルマ自体の完成度の高さもあって、人気モデルとなった。4代目の基本的なスタイリングやパッケージングは、3代目の流れを引き継いだキープコンセプトといえる。

日本車メーカーの場合、車名を次いでフルモデルチェンジした際にあまり代わり映えしないと、売れなくなるジンクスはある。ただ、4代目はソリオ バンディットがアメ車(米国車)っぽい顔つきになったし、標準のソリオもメッキがギラギラの派手なマスクになっており、新たに採用した2トーンルーフなどがなかなか印象に残る。

ボディパネルの微妙な抑揚が見せる表情も、今どきだ。そもそもソリオのような車種は大きく変わることが望まれていたわけではないだろうし、これで販売が落ち込むということもないとみている。

一方、4代目の中身は従来から大きく変わっている。まずは車体。新型ソリオはスズキが「Aセグメント」と呼ぶ小型車用に新規開発したプラットフォーム(車台)を採用した最初の車種となった。高張力鋼板の使用率拡大や、構造の見直しなどによりボディ関連だけでも3代目と比べて約30kg軽くしたことをはじめ、トータルの車両重量は同100kgもの軽量化を実現した。

もっとも軽いグレードの車両重量は930kg。最近のスズキは大幅な軽量化で驚かされることが多いのだが、1000kg(1t)級の軽いソリオで一気に1割近く落としたというのは、たいしたものだ。

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