個人が機関投資家より「圧倒的」に有利な点 大学財団と個人投資家の共通点

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しかし、ポートフォリオの分散をしておかないと、ドローダウン(一時的な時価上の損失)が発生したときに、不安に耐えられずに損切りしてしまったり、逆にプラスのリターンが出て早々に利益を確定したりしがちになります。こういった行動は、長期投資になじみません。また、たとえば「これから数年間は日本株が強い!」と考えたとしても、そうならないリスクもつねに存在します。

個人投資家は、エンダウメント投資戦略をお手本にすることで、積極的な長期分散投資という、銀行や保険会社がマネできないような本腰の入った運用をすることができるのですから、この無理なく時間を味方にする資産運用法を活用していただきたいと思います。

非常にシンプルなエンダウメント投資戦略

ここまで資産運用の世界で、抜群の運用実績を上げているエンダウメント投資戦略について紹介してきました。あらためて要約すると、次のように箇条書きできます。

 ①長期投資に徹する
 ②分散投資に徹する
 ③オルタナティブ投資を積極的に活用する
 ④運用は外部の運用会社に任せて、ポートフォリオの資産配分に注意する
 ⑤よい運用会社を選び、できるだけ長く保有してあまり頻繁な売買はしない

 

このように、とてもシンプルです。

これならできそうではありませんか? ただし、最初に資産配分を決めてポートフォリオを構築し、運用会社を選ぶ作業がとても重要です。ここがうまくいけば、あとはある意味、放っておいてもうまくいきます。逆に、入り口を間違えると、時間が味方をしてくれることにはならない点に注意が必要です。

山内 英貴 GCIアセット・マネジメントCEO

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やまうち ひでき

やまうち ひでき 1963年生まれ。日本興業銀行でトレーディング・デリバティブ関連業務に従事した後、2000年4月に独立し、ヘッジファンド運用に特化した資産運用会社グローバル・サイバー・インベストメント(現GCIアセット・マネジメント)設立。2007年4月より東京大学経済学部非常勤講師。主な著訳書に『LTCM伝説』(共訳:東洋経済新報社、2001年)、『オルタナティブ投資入門(第3版)』(東洋経済新報社、2013年)がある。

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