マツダが起死回生へ、ギリギリの巨額増資

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「この2年が最もきつい」

増資発表の1週間前。マツダは新型SUV(スポーツ多目的車)「CX−5」を発売。走りと環境性能を両立させた次世代技術「スカイアクティブ」を初めて全面採用した。

同車には二つの意味がある。一つは世界戦略車としての期待。もう一つは円高下での採算改善だ。スカイ技術によって2割以上の車両コスト削減などが進んでおり、「1ドル=77円でどこに輸出しても黒字が出せる」(山内孝社長)。CX−5をテコに、来期以降の黒字化を描く。

今後はこの技術を他車へも横展開する。が、「それが実現する間に、投資もしないといけない。この2年間が最もきつい」(前出の役員)。それに対する答えが、今回の大型調達だった。マツダは調達資金でメキシコのほか、ロシアやASEANでの現地生産を計画。15年度には海外生産比率を現在の3割から5割まで拡大する。

今回マツダは株式の発行枠を目いっぱい使い、公募増資を行う。その結果、発行済み株式総数は最大で68・5%も増える。09年にも約1000億円の公募増資をしたばかり。まさにギリギリのタイミングとなった今回の大規模調達。今度こそ成長シナリオにつなげられなければ、後がない。

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(本誌:並木厚憲 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年3月3日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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