ソニー「解体」の日 復活への処方箋はあるか《下》

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ソニー「解体」の日--復活への処方箋はあるか《下》

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最優先の課題は、9期連続で赤字のテレビ事業の改革だ。

平井氏は昨年11月にテレビ事業の再建策を発表し、12年度の市場シェア20%、販売台数4000万台としていた従来の中期計画を撤回。2000万台体制に縮小するためにリストラを行うことを発表済みだ。今12年3月期は構造改革費用を計上することでテレビ事業の赤字は1750億円に膨らむ見通しで、累計赤字は1兆円近くに上る。

光見えないテレビ事業 ネット戦略も離陸せず

ソニーはサムスンやパナソニックと違い、自社の液晶パネル工場を持たない。自社のテレビ組立工場の売却も進め、5割超のテレビを外部委託生産することで固定費を最小限に抑えてきた。昨年12月には、サムスンとの液晶パネル合弁会社「S-LCD」との資本・取引関係を解消し、年間500億円のコスト削減をはじくが、それでも黒字化は難しい。テレビ市場全体が価格下落で儲からないためだ。11年は世界トップのサムスンでさえ液晶事業は赤字に沈んでいる。

黒字化できない場合、単独製品として最大の売り上げ規模を誇るテレビ事業を“切り捨てる”判断が平井氏にできるのだろうか。

テレビ事業の構造改革が守りとすると、攻めに当たるのがネットワークを通じたコンテンツ配信。アップルの「アイチューンズ」を意識したプラットフォームビジネスで、平井氏が中心となって推し進めてきた。プラットフォームを確立できれば、ソニー製端末の差別化要因となり、テレビ事業の側面支援にもつながるという期待がある。


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