白いドライバーで絶好調のテーラーメイド社長が語るイノベーションの秘密

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--日本市場は米国市場と比べると製品の中心価格帯が高い。主力のドライバーの価格は、日本は8万円台、米国は299ドルから399ドル。
 近年の日本市場でのTMAの成功は、ツアーモデルを米国市場に近いリーズナブルな価格で提供していることにあると考えている。若いゴルファーを中心に支持を得ているからだ。
 しかし、今度発売する高級ブランドの「グローレ」は日本専用モデルでドライバーの価格は8万円台。従来の戦略と違って見えるが……。

われわれは日本においても、世界のそのほかと同じ戦略を遂行してきた。つまり、USPGAツアーで検証された高性能な製品をリーズナブルな価格で提供するという戦略だ。

一方、日本市場の平均的なプレーヤーは高級感があるクラブを好む。またそういったゴルファーの比率が高い。われわれのこれまでの世界戦略ではこうしたゴルファーを魅了することができなかった。日本市場の大きなセグメントを攻めて、持続的に成長するには戦略変更が必要だと考えた。新しい戦略は機能すると確信している。

日本市場は製品が頻繁に変わる。たとえ、新しい製品がうまくいかなくても、次年度ダメージが少ないうちにすぐに変えることができる。そうした市場の特性を考慮すると、リスクを取って試す価値がある。


日本専用の高級ブランド「グローレ」


--中国市場への期待感やアプローチは。現在の中国市場は高級クラブが売れる市場だ。日本型の市場となるのか?

中国市場はまだまだ未開拓で、何がうまくいくかわれわれも確信を持てていない。現在、中国でゴルフをされる方は経済的にトップ層にある人たちだ。また、中国人はブランド志向が強いと聞いているので、高級感があるグローレのような戦略がうまくいくかも知れないが、今の時点でははっきりしていない。

--昨今のゴルフ市場で、TMAは最も成長している大手企業だ。

伸びている企業の1社であることは間違いない。10年から11年にかけては年率15%成長。それほど成長した会社はほかにはない。

--近年、ゴルフ業界では再編が進んでいる。クリーブランドが日本のダンロップ(SRIスポーツ)に買われ、その後、コブラブランドがアクシネットからプーマに移った。昨年はタイトリストやフットジョイを持つアクシネットが韓国FILAに買われた。TMAとして積極的にM&Aを行っていく考えはあるのか。

われわれはアグレッシブに成長していくことを目指している。まずは独自での年率10~15%の成長を考えている。この数字自体が大変アグレッシブなものだが、それに加えて、いいブランドで、かつ利益率が上がるなら買収したいと考えている。問題は、利益が上がるブランドはそんなに存在していないことだが。

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