1997年11月、四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表した。その要因となった約2600億円の簿外債務は、いつ、どのように生まれ、そして誰によってどのように隠し続けられたのか。役員までもが沈没船から逃げ出す中、最後まで会社に踏みとどまり、黙々と真相究明と顧客への清算業務を続けた社員たちがいた。彼らは社内から“場末”と呼ばれ、煙たがられた部署の連中だった――。
第36回講談社ノンフィクション賞を受けた清武英利のノンフィクション小説『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社刊+α文庫)を原作にした連続ドラマW『しんがり~山一證券 最後の聖戦~』が9月20日よりWOWOW プライムにて放送される(全6話:毎週日曜よる10時~)。業務監理本部(ギョウカン)本部長に就任し、会社の破綻原因の真相を究明するチームのリーダー・梶井に扮するのは、数々の映画やドラマで活躍している江口洋介。そして梶井とともに闘う仲間には、萩原聖人、林遣都、勝村政信など。さらに、破綻の元凶を作った会長役に岸部一徳など、個性豊かな演技派俳優が名を連ねている。
メガホンをとったのは、迷走する巨大企業の内情を描いた映画『沈まぬ太陽』の若松節朗監督。今回は、誇り高き無名の男たちにスポットを当てた若松監督に話を聞いた。
あんな大企業が潰れるなんて想像できなかった
――そもそも若松監督は1997年当時、山一證券の事件をどうご覧になっていましたか?
当時はあんな大企業が潰れるなんて想像がつかなかったですね。それから、当時社長だった野澤正平さんの号泣会見ですね。今でこそ企業が不祥事を起こすと、必ずみんなが並んで立って謝るという構図がありますが、当時はまだ珍しかったんじゃないですかね。
――泣きながら「社員は悪くありません!」という言葉も強烈なインパクトがありました。
みんなそれを知ってるんですよ。相当衝撃的だったんでしょうね。
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