ドコモ、KDDIなど携帯3社の株価が大幅安に 安倍首相の料金値下げ検討指示を嫌気
[東京 14日 ロイター] - 14日の東京市場で、国内携帯電話大手3社の株価が大幅安となった。KDDI(au)<9433.T>とソフトバンクがアップル<AAPL.O>の新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)6s」の発売に合わせ割安な通話プランを発表したことや、安倍晋三首相が通信料の引き下げに向けた方策を検討するよう指示を出したことが、収益悪化懸念につながった。
NTTドコモ<9437.T>は前週末比9.8%安、KDDIは同8.5%安、ソフトバンクグループ<9984.T>は同5.5%安となった。KDDIとソフトバンクが11日、5分以内の国内通話がかけ放題となる割安な通話定額プランを発表したことで、料金競争リスクが意識されたほか、同日の経済財政諮問会議で安倍首相が高市早苗総務相に対して携帯電話料金引き下げの検討を指示したことも懸念に拍車をかけた。
3社は現時点で「家庭の光インターネット料金も合わせて、携帯電話料金を下げる努力をしており、これからも引き続き検討していきたい」(ドコモ)、「こういったことが話題に出る前から、ユーザーが利用しやすいプランは出している」(KDDI)、「これまでも事業者との間で競争し、都度、新しい料金を導入してきたが、今後も様々な施策を検討していく」(ソフトバンク)と冷静に受け止めているが、値下げ包囲網が狭まれば、減収覚悟の値下げに追い込まれる可能性がある。
総務省は仮想移動体通信事業者(MVNO)の普及や契約した携帯電話会社以外で端末を使えないように制限をかける「SIMロック」解除の義務化など、競争環境の整備を進めてきたが、ある幹部は「競争環境の整備を通じて料金を引き下げる方向に持っていこうと考えていたが、踏み込んだ検討が必要なのかもしれない。いままでの取り組みの延長線上で十分なのかどうか検討する」と述べ、対応策を検討することを明らかにした。
バークレイズ証券の舘野俊之アナリストは、足元の状況について「競争軸がユーザー維持から業界総負けのユーザー争奪へと回帰する波乱の時代の幕開けを迎えている可能性がある」とした上で「政府からのARPU(1契約当たりの月間平均収入)低下圧力も増す可能性があり、通信業界に対する印象はさらに悪くなる可能性がある」との見方を示した。
(志田義寧)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら