上場企業の約7割を占める3月期決算の中間期末が近づいてきている。2~3月の決算商戦期ほどではないものの、9月中間決算を控えて少しでも業績を高めようと奔走している時期でもある。
企業の業績で基本となるのは、言うまでもなく売り上げ(売上高)だ。損益計算書の一番上に記載される数字であることから、「トップライン」とも呼ばれる。商品やサービスの販売など、企業の主たる営業活動によって得られた収益である。定款によって定められた事業からの収入であり、ここを継続的に伸ばしていくことが企業経営の基本であり王道だ。
売り上げを増やしていくのは、企業の成長にとって欠かせない要素。売り上げがなければ利益も生まれず、事業継続あるいは拡大のための原資を確保できない。では、どんな企業がどれぐらいの売り上げ増をはたしているのか。東洋経済オンラインは、約3600社の上場企業の財務情報をすべて網羅している『会社四季報』(2015年秋号が9月14日発売)で集計しているデータを活用して、「過去10年で売上高を増やした企業」のランキングを作成した。
もともとの大企業ほど売上高増加額が大きい
直近本決算までの実績をベースにしており、10年前との売上高増加額が多い順に上位500社を並べた(原則として連結ベース、単体決算企業は単体の数字)。直近決算の売上高と、10年前比の増加率(%)も併載した。
1位はトヨタ自動車。もはや説明の必要のない日本最大の企業にして、世界トップの自動車メーカーである。直近本決算である2015年3月期の売上高は27.2兆円に上るが、これを10年前から比べると8.6兆円もの増加(47%増)となる。トヨタはこの10年、海外を中心に自動車生産・販売台数を大きく拡大している。単純な規模の面でだけでなく、その増加額においても日本一というのは、トヨタがいかに強い企業かということを示している。
2位はソフトバンクグループだ。10年前比売上高増加額は7.8兆円(936%増=約8.3倍)。直近決算は8.6兆円なので、10年前を振り返ると、実は売上高1兆円にも満たない企業だった。最大のトピックは、言うまでもなく2006年3月に英国ボーダフォングループとの間で合意したボーダフォンの買収だ。ソフトバンクは携帯電話事業への参入を果たし、その後は米スプリントの買収などによって収益を一気に拡大した。
ランキング上位を見ると、もともとの規模が大きい大企業ばかり。中には楽天(64位)、ヒューリック(168位)、ディー・エヌ・エー(213位)などのようにこの10年で売り上げを数十倍以上に増やす急成長で、大手企業の一角に食い込んできた会社もあるが、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源が豊富な大企業のほうが、さらに事業領域や収益を拡大しやすいという側面がある。
本ランキングは、10年前から株式を上場している約1570社が集計対象となった。単純平均すると直近売上高は約3150億円、10年前比売上高増加額は約1150億円、同増加率は約87%だ。