「路線バスの旅」が、ほぼ流行らない根本原因

バスは、観光客にはわからない部分が多い

地元民には便利な路線バス。観光利用としては、わからないことが多すぎる

昨今、路線バスを乗り継いで数人のタレントが旅をするテレビ番組がなかなかの評判である。テレビ東京系「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を始め、各局がさまざまな形で路線バスを乗り継ぐ旅番組を放映、聞くところによると各局ともけっこう視聴率がとれるのだという。長年バスに関連した仕事を続けてきた者としては、うれしい現象である。

ただ、それでは実際に地方の路線バスを利用して旅をする人が増えているのかというと、首をかしげざるをえない。鉄道の場合を見ると、テレビの旅番組で紹介されたり、雑誌などへの露出度が高くなったりしたローカル線には、結構な観光客が訪れる。JR東日本の五能線(青森・秋田)などは典型的である。実際ローカル鉄道の車内には、かなりの割合で“乗りに来た”旅行者の姿を見かける。ところが地方のバスでそんな旅行者の姿を目にすることはまずない。

旅行者には利用しにくい

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村営バスの停留所。標識柱には主な停留所が略図で記されているが、観光客にはわかりにくい

鉄道との違いは何なのか、と考えてみると、思いつくことは二つある。

ひとつは、情報が決してないわけではないのだが、全国版の時刻表があり、地図に線路がはっきり記載される鉄道に比べて、バスは「わからない部分が多い」こと。そしてもうひとつは、バスは地域の生活により近い存在であるがために(それがバスの魅力ともいえるのだが)、地域の通学や通院など、具体的な生活移動ニーズに合わせた運行をしており、明らかに観光地へのアクセスのためにある路線を除くと、よそから訪れた人にとっては必ずしも利用しやすい設定にはなっていないことである。

筆者は1990年代の初めごろ、路線バスを乗り継いで旅をする番組のはしりともいえるTBS系「そこが知りたい」という番組で何回か制作された「各駅停車路線バスの旅」シリーズの初期の段階で、バス乗り継ぎプランをつくるお手伝いをしたことがある。

第1回目は冬季に東京から能登半島の先端の狼煙までをつなぐというもので、その後は関東平野とか、東海道とか、趣向を変えつついろいろなコースづくりをアドバイスした。当時結構好評な企画で、その後テレビだけでなく、雑誌や新聞などでも特集記事で路線バス乗り継ぎの旅の企画が持ち込まれ、実際に筆者はいくつかのプランを立てた経験がある。

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