顧客価値を生むことができる人材、次世代のビジネスモデルを考えられる人材を生み出していきたい--近藤史朗・リコー社長

顧客価値を生むことができる人材、次世代のビジネスモデルを考えられる人材を生み出していきたい--近藤史朗・リコー社長

2011年9月30日に開催されたグローバル・リーダーシップ・フォーラムにおける近藤史朗・リコー社長の講演録をお届けする。

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最初に、本日のフォーラムのテーマとして掲げられた「新世代を担うグローバル・リーダー」とは何かについてお話しします。グローバル・リーダーの要件に関しては、一般的には異文化の受容力、高い専門性、コミュニケーション能力、マネジメント力など、さまざまなスキルが語られています。
 
 自分自身の経験を振り返るとリーダーには、チームビルディングの能力が不可欠です。たとえば、課題解決には、ビジョンの共有、全員で目的を達成するという意思形成能力、適切な役割の分担、チームシナジーの発揮などが必要ではないでしょうか。当然のこととして、的確な判断力を持ち、誰よりもリスクに対して敏感でいることも条件になります。

私自身はエンジニアとして商品の開発から立ち上げに長い間かかわり、世界中のさまざまな人たちと一緒に働いてきました。そして今、経営の立場から今のリコーに最も期待するのはどういう人材かと考えると、それは顧客価値を生むことができる人材、次世代のビジネスモデルを考えられる人材だと思っています。
 
 私は、そうした新しい顧客価値の創造、言い換えればイノベーションを実現できるリーダーとしての素養がある人材を生み出していきたいと思っています。

イノベーションは「技術革新」と訳されることが多いと思います。しかし、単に「技術革新」とすると、範囲が狭くなってしまうように感じます。「新しい顧客価値をつくりだす」と考えたほうが、より理解しやすいのではないでしょうか。そう定義すると、技術がいくら優れていたとしても顧客価値を生まないものはイノベーションとは言えないのです。

私どもの複写機のビジネスモデルは現在破壊的イノベーションにさらされていると実感しています。複写機を初めて発売した当時は、今のように安定した品質ではありませんでした。そこでプリント枚数の従量課金による保守サービスシステムを設け、それをビジネスモデルとしてきました。
 
 私たちは複写機やプリンタというハードウエアを販売して、その後にメンテナンスあるいはトナーなどの消耗品もお客様の業務に支障を来たさないように迅速に提供するという、利益性の高いビジネスモデルをつくってきたのです。

しかし、新たな競合相手が出現し、新興国市場などを中心に、とても安い製品を出してきています。かつて「大きな脅威にはならない」と想定していた競合相手が破壊的な価格でわれわれに挑戦し、マーケットでの存在感を増してきています。
 
 一方、まったく違う領域でのイノベーションも起こっています。たとえば、ある大手のお客様からは、「紙を使用せずにタブレット端末などを用いて会議をしたい」といった新しいニーズが生まれています。
 
 「発表者がPCで資料のページをめくったら、参加者の元にある端末でも同じところが表示されるように」というご要望に対し、私どもは自社製品でもある紙が使われなくなることを知りつつ、RICOH TAMAGO PresenterというiPad用のアプリケーションを無料で提供しています。
 
 鉄壁を誇ったビジネスモデルも、いずれはこのように大きく方向が変わることも考えながら進まなければいけないのです。

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