顧客価値を生むことができる人材、次世代のビジネスモデルを考えられる人材を生み出していきたい--近藤史朗・リコー社長

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 社会の変化としてはオフィスがどんどん分散し、オフィスを持たないワーカーが増えてきます。そして、コミュニケーションが多様化し紙を使わない情報共有の仕方も進化しています。その結果、リコーの現在のビジネスがなくなるのではないかという懸念も生まれるでしょう。
 
 しかしながら、たとえば、コアビジネスに代わる新規事業を模索し、さまざまな危機を乗り越え、新たな事業の柱を打ち立てて息を吹き返した企業もあります。紙が近い将来に完全になくなるとは思ってはいませんが、世界中のグループ会社と今後の進むべき方向性を議論しています。
 
 オフィスを中心としたワークグループ、プロダクションプリンティング、コンシューマーという領域において、どのようなビジネスを生み出し成長していくかなど、さまざまな視点から戦略を検討しています。

その具体例として、最近いくつかの新商品を発表しています。まずは、ビデオ会議システムです。持ち運びが可能で複数の拠点間でのビデオ会議を実現するソリューションを提供するユニファイドコミュニケーション事業の第1弾となる商品です。また、情報を映像として出力するプロジェクションシステム事業やeWriter Solutions事業も挙げられます。
 
 そのほかプロダクションプリンティング事業ではフォトブックなどにも対応しています。商業印刷分野においてもネットワーク化・デジタル化に進んでいます。リコーは、小さな印刷会社から大手まで、プリント・オン・デマンドなどのソリューションを提供しています。

最近では、効率を上げることと、エネルギー使用量を極力減らすことなどを目指したオフィスのあり方が求められており、リコーは、そうしたお客様のご要望に応えるビジネスを生み出したいと思っています。

そして、成長と体質改造を実現する2つ目の戦略は、「高効率経営の実現」です。既存の仕事領域を圧縮し、そのリソースを成長のための新しい領域にシフトしていくことを目指しています。
 
 ここで当社の販売について、少しだけお話しします。たとえば、販売の本質的な仕事は予測から受注までです。しかし、「販売実績が高い担当者ほどお客様のところに伺う時間が取れない」という声が上がりました。なぜかというと、売り上げが伸びることに伴い、伝票作成や納入依頼などの事務処理も多くなるためです。
 
 それらの社内向けの仕事は、お客様のためではなく会社のための仕事であり、顧客価値を生む性質のものではありません。会社内部のための仕事そのものを極力簡素化し、販売担当者がお客様優先の仕事に集中できるようなシステムに変えるよう指示し、効率化を図っています。

人を愛し、国を愛し、勤めを愛す

リコーでは創業の精神と経営理念からなる「The RICOH Way」を制定し、従業員への浸透を図っています。創業者市村清が掲げた「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という三愛精神(創業の精神)もThe RICOH Wayの一部です。これに込められた思いを世界の全グループ会社にあらためて訴求しました。

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