維新の党「仮面夫婦」の破局は仕組まれていた 中央vs地方は、かつての公明党とも類似

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2014年9月の結党会見。2つの勢力がお互いを牽制しながら1つの家の中にいる関係は、1年もたなかった(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

野党として民主党に次ぐ国会議員数を誇る「維新の党」。同党のゴタゴタが、ついに「分裂騒動」へと発展した。

同党にもともと水と油とでもいうべき2つの相容れない勢力がある。その対立に、あることがきっかけとなりヒビが入った。そのヒビが修復されることはなく、橋下徹大阪市長と松井一郎大阪府知事が8月27日、正式に維新の党の離党を表明した。

後述するが、この「きっかけ」は利用されたにすぎず、離婚シナリオはあらかじめ練られていたものだろう。冷めきった仮面夫婦だったのである。

幹事長が共産党推薦の候補を応援

あるきっかけとは、柿沢未途同党幹事長が14日、梅津庸成氏を応援するために山形市入りしたことだ。梅津氏は9月13日に行われる山形市長選に、民主・共産・生活・社民の野党4党の推薦候補として出馬予定。維新の党は梅津氏を推薦していない。

にもかかわらず、柿沢氏は応援に駆け付けた。梅津氏を推薦する野党から依頼があったわけではなく、梅津氏を応援する小林節慶應義塾大学名誉教授から要請されたからだという。ちなみに小林教授は、維新の党の安保関連法案に「合憲」のお墨付きを与えている。

しかし、これが党内の混乱の端緒になった。維新の党が梅津氏を推薦しなかったのは、梅津氏に共産党の支援が付いているため、「大阪系」の議員たちがこれを拒否したからだ。それを押し切るために、柿沢氏が持ちだしたのが「野党連携」だ。松野頼久代表も代表就任時から「野党の幅広い結集」を是としている。だがそもそも「大阪系」はそれに頑なに反対してきた。党内には全く相容れない路線が2つあるわけだ。

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