野村ホールディングスの格付けBaa2を引き下げ方向で見直し《ムーディーズの業界分析》

野村ホールディングスの格付けBaa2を引き下げ方向で見直し《ムーディーズの業界分析》

金融機関グループ
SVP エリザベス・ラドマン

ムーディーズは11月9日、野村ホールディングス(以下、野村)のBaa2の債務格付けを引き下げ方向で見直しの対象とした。これは、同社の海外資本市場業務における継続的な損失計上を受けたものである。見直しにおいては、上記損失が同社の戦略の方向性に与える影響と、それが債権者にどの程度のマイナスの影響を与えうるかについて、検証を行っていく。

格付け理由

野村の格付け見直しにおいては、以下の点を検討する。(1)海外資本市場業務における継続的な損失計上に伴う影響と、発表されたコスト削減計画の実効性、(2)リーマン・ブラザーズのアジア・欧州部門買収によるシナジー効果の発現や収益向上が達成できていない現状において、同社が取りうる戦略上の選択肢、(3)強固な国内営業基盤、高い自己資本と流動性、ストレス時における日本銀行からのシステミック・サポート提供の可能性などの、格付け上の緩和要因。

2011年11月2日、野村は、11年度(12年3月期)第2四半期(7~9月期)において、ホールセール部門が730億円(9.5億米ドル)の税引前損失を計上した結果、460 億円(6億米ドル)の純損失を計上したと発表した。第2四半期は営業環境が厳しく、競合他社の大半がホールセール資本市場業務において大幅な減収となったが、特に野村の同業務は低迷を続けており(直近2四半期、10年度第1四半期に損失を計上)、厳しい状況に直面している。加えて、同業務の事業環境は、不安定な状態が継続する、とムーディーズは見ている。

上記損失を受けて、野村は、コスト削減計画の規模を従来の4億ドル(11年8月発表)から、12億ドルへ拡大した。コスト削減計画は、欧州ホールセール部門のコストベース縮小と、米州およびアジア(日本を除く)への経営資源の再配分が主眼となっている。

09年5月、ムーディーズは野村の格付けをA3からBaa2に引き下げたが、これは同社が08年度に7090億円の純損失を計上した後の困難な戦略上の課題(リーマン買収など)を反映したものであった。ムーディーズは当時、リーマン買収によるシナジー効果の発現や収益向上が達成できない場合、格付けにさらなるマイナスの影響が及ぶ可能性がある、と指摘していた。以来、同社の低収益性が継続していることを鑑み、今回の見直しにおける主な検討事項としては、(1)上述のホールセール部門におけるコスト削減計画の評価、(2)同部門の業績の不安定性が同社の債権者にとってのリスクの増加になるか否か、などが挙げられる。

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