東芝新体制は「社長続投・社外取締役過半」 2015年3月期に1750億円の関連損失を計上

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 8月18日、東芝は2015年3月期の連結最終損益が赤字になる見込みと発表した。写真は記者会見場で頭を下げる室町社長。都内で同日撮影(2015年 ロイター/Issei Kato)

[東京 18日 ロイター] - 東芝<6502.T>は18日、不正会計問題で開示が遅れている2015年3月期の連結最終損益が赤字になる見込みと発表した。資産減損や事業の一部撤退費用などで1750億円の関連損失を計上する。

最終赤字の具体的な金額は、税金費用を算定中として公表を見送ったが、売上高が6兆6600億円(2013年度の修正後の実績は6兆4900億円)、営業利益が1700億円(同2500億円)、税引前利益が1400億(同1800億円)になるとの予想を発表した。

関連損失の内訳は、米テキサス州の原発建設プロジェクトや半導体などの資産減損で1270億円、パソコンやテレビ事業の一部撤退関連で360億円、訴訟関連で120億円。不正会計発覚前に公表した営業利益予想は3300億円で、新たな営業利益予想との差額のほとんどを占めた。

一方、米原子力事業子会社ウエスチングハウス買収で発生した巨額ののれん代は「価値は適正」として減損の必要性を否定。また、東芝単独・国内連結納税子会社の1500億円の長期繰り延べ税金資産も取り崩しを否定した。

ただ、2015年度の税制改正の影響による繰り延べ税金資産の取り崩しが、最終赤字の要因になると説明。前期の赤字転落を踏まえ、2015年9月期の配当予想は無配とした。

東芝は同時に、9月下旬の臨時株主総会で発足する新経営体制を発表した。室町正志会長兼社長が社長専任で続投する。取締役の過半数を社外から起用し、失墜した信頼回復を急ぐ構えを強調した。

新体制では、不正会計問題が発覚する前に16人だった取締役を11人に減らし、社内取締役は室町社長ら4人、社外取締役は7人とする。取締役会議長は今月31日までに公表するが、社外取締役に留任した伊丹敬之・東京理科大教授が就く方向。

また社外取締役には、経済同友会の小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス<4188.T>会長)、アサヒグループホールディングス<2502.T>相談役の池田弘一氏、資生堂<4911.T>相談役の前田新造氏の社長経験者3人のほか、弁護士と公認会計士の3人を起用した。

室町社長は同日夜記者会見し、不正会計の発生について「深くおわび申し上げる」とあらためて陳謝。今後の課題として、(1)ガバナンス改革、企業風土改善(2)不採算事業の改革、(3)行政処分への対応――の3点に取り組む意向を示した。

田中久雄前社長の辞任を受けて、西室泰三相談役の慰留で社長に就任することになった異例の経緯について「社長の後任人材も退任せざるを得ない悲惨な状況で、職務を遂行できそうなのは私。やるべきと決意した」と話した。

(村井令二 編集:山川薫)

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