【産業天気図・自動車】海外好調が収益拡大を後押し。上期低調の日産が中間決算時に通期減額するかが注目点

自動車業界は依然、国内販売の不振を収益柱の海外事業がカバーする構造が続いている。
 今年1~8月の国内市場の全需は前年同期比1.7%減。ただ、ここには同8.3%増の軽乗用車が含まれており、普通乗用車(登録車)では同7.2減と不振が際立つ。昨年夏以来の減少が続き、メーカー各社は総じて国内は低迷中だ。
 これをカバーするのが、北米を中心とする海外市場だ。トヨタ自動車<7203.東証>やホンダ<7267.東証>、日産自動車<7201.東証>などが全社利益の半分以上を稼ぎ出す北米市場は、今年に入って減少傾向を示し、今夏からは、その傾向が明確になっている。だが、ガソリン高により、消費者の燃費指向は強まり、その不振は大型車を中心とする米ビッグスリーに集中。日本車はむしろ増加し、シェアが拡大する格好が続く。このため今後、北米市場のスローダウンが続いても、現状の範囲内なら日本メーカーの収益計画を狂わすところまでは行かない、というのが業界のコンセンサスとなりつつある。スズキ<7269.東証>が得意とするインドや、中国などアジア市場も総じて順調で、日本メーカーの収益拡大を後押しする要因だ。
 さらに、多くのメーカーが前提とする1ドル=110円の為替見通しに対し、現状は一貫して円安。これによる利益押し上げ要因が各社の増益計画を下支えする。当面は全般的に「晴れ」が続くと見て良さそうだ。
 こうした中、販売の優劣による差が出始めているのも事実。日産は新車端境期による日米の上期販売不振が想定をやや上回る。下期から北米で新車投入ラッシュが始まるため、大崩れはしにくいが、10月下旬の中間決算発表時に期初の通期微増益計画を下方修正するかどうかが最大の注目ポイントだろう。
 そのほか、昨年北米に投入した新型SUV「B9 トライベッカ」の販売が想定より落ちる富士重工業<7270.東証>も減額リスクがあると見ていい。トライベッカは6気筒エンジンが主体で、昨年来のガソリン高による4気筒エンジン車へのシフトが逆風となっている模様だ。
【野村明弘記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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