ミクシィ、絶好調「モンスト」の次なる仕掛け ピーク時の「パズドラ」をも抜き去る勢い

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もう1点が、積極的な海外展開だ。すでにモンスト利用者の約30%が海外ユーザーとなっており、特に人気なのが台湾・香港・マカオ。人気アニメ「エヴァンゲリオン」とのゲーム内コラボを実施したところ、5月末には台湾と香港のアップストアで売上高1位を獲得した。「驚くことに、日本と課金率は変わらない」(荻野泰弘CFO)。

一方で中国向けは10月に配信停止を予定しており、配信を手がける中国テンセントと交渉済みだ。「中国はオンライン上で遠くのユーザー同士が遊ぶ文化に対し、モンストは対面で遊ぶゲームのため継続が難しくなった」(荻野CFO)と説明する。

米国でも「モンスト」のヒットのための方針を示した森田仁基社長

新たな市場として見据えているのが、北米である。10月以降に大規模マーケティングを予定しており、現地仕様に合わせたゲーム開発も実施している。日本のように複雑なキャラクター設定やゲームシステムではなく、もう少しわかりやすいシンプルな内容に見直しているという。「7月に175億円の資金調達を行ったので、米国でヒットできるよう取り組んでいく」(森田社長)。

一本足打法からの脱却を目指す

ミクシィはモンストの拡大戦略と並行して、新作ゲーム開発やM&Aにも積極的だ。前期はチケットのフリマサービス「チケットキャンプ」を展開するフンザ社を115億円で買収したほか、女性向けファッションコマースサービスのミューズコーも傘下に収めている。

背景には、「過去にSNSサービスmixiの一本足打法で経営したら、10年後に赤字にまで突入した辛い経験がある。モンストは好調だが、事業構造が多岐にわたる複合的な企業にしていきたい」(荻野CFO)という強い思いがある。

モンストの大ヒットは、ミクシィという企業をも新たなステージへ押し上げる救世主となるのか。絶好調に稼いでいる間にも、やるべきことは山積みだ。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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