JR九州の新列車は「ななつ星」より儲かるか 幻の「或る列車」がいよいよお目見え
「ななつ星in九州」を頂点とする“観光列車大国”九州に8月8日、新たな顔ぶれが加わる。
黄金の外装は、ななつ星に勝るとも劣らぬ輝きを放つ。クラシカルな格天井や個室の仕切りに用いられる組子は、ななつ星に用いられた技術を活用している。なかなか予約の取れないななつ星の雰囲気を手軽に味わえる列車として、この夏の話題をさらうことは間違いない。
JR九州が導入する、新しい観光列車の名前は「或る列車」。鉄道模型収集家として知られる故・原信太郎氏が愛した、同名の幻の客車の模型をもとに制作された。
1908年に当時の九州鉄道が米国に5両編成の豪華列車を発注した。が、日本到着後、営業運転の機会がないまま廃車となった。つまり、名称が付けられることがなかったため、ファンの間で「或る列車」と呼ばれているのだ。原氏は子供のころに田町の操車場にこの車両がうち捨てられているのを発見。詳細にスケッチし、後に模型を作り上げた。
新列車製作のきっかけは3年前
JR九州が或る列車の製作に踏み切るきっかけとなったのは3年前、JR九州の青柳俊彦社長が原氏の模型コレクションを展示する原鉄道模型博物館を訪れたことだ。
「この模型は入り口近くに展示されていた。先を急いでいたので通り過ぎようとしたら、模型が私に『ちょっと待て』と声をかけた気がした。そこで、立ち止まって模型の説明文を読んでみたら『九州鉄道』と書いてある。これには驚きました」。青柳社長は、或る列車との出会いをこう振り返る。
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