JR九州の新列車は「ななつ星」より儲かるか 幻の「或る列車」がいよいよお目見え

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車両公開の式典であいさつする青柳社長

3年前といえば、ななつ星の製造が佳境を迎えている時期だ。自分たちが全力で造っているのと同じような豪華列車が、かつて九州に存在したという事実に感嘆しつつも、その思いは封印し、ななつ星プロジェクトに没頭した。

一方でJR九州には、ななつ星の次の観光列車プロジェクトとして、「スイーツ列車」を導入する計画があった。ランチやディナーではなく、スイーツを車内で提供するというもの。つまり、「当初は、ななつ星よりも気軽に乗れる列車というコンセプトだった」(青柳社長)。

2013年10月にななつ星が営業運転を開始すると、その人気は予想をはるかに上回った。「乗れない」「乗りたい」という利用者の声が数多く同社に寄せられた。そのため、当初のコンセプトは少々軌道修正された。「こんな列車があったらいいな」というさまざまな利用者の意見の集大成が、或る列車として結実したともいえる。

模型をモチーフに、或る列車を現代によみがえらせるプロジェクトを了承した原氏は、完成を見ることなく他界した。原氏の次男で原鉄道模型博物館の副館長を務める原健人氏は、「父は自分のコレクションを決して“模型”とは言わず、“美術工芸品”と呼んでいた。そして、1分の1の美術工芸品を作るのが父の夢だった」と語る。原親子にとっても、或る列車の完成は感無量だろう。

内外装の費用は「ななつ星」に匹敵

車両デザインを手掛けたのは、ななつ星から九州新幹線までJR九州の大半の車両をデザインした水戸岡鋭治氏。制作の過程で「少々おカネを使いすぎてしまいました」と率直に打ち明ける。

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