AIIB、日米参加への「落としどころ」とは?

中国は「拒否権」を取り下げる可能性

AIIBの初代総裁になる金立群氏。自信がみなぎるせいか、笑顔も明るい(写真:ロイターアフロ)

中国主導で設立準備が進む、アジアインフラ投資銀行(AIIB)が、年内の業務開始へ動き出した。

7月6日、中国政府は財政部(財務省に相当)元次官の金立群氏を、AIIBの初代総裁の候補に指名した。現在、臨時事務局長を務める金氏は、米国留学を経て財政部の国際畑で活躍。2003年から2008年まで日米が主導するアジア開発銀行(ADB)の副総裁も経験している。

これに先立つ6月29日には、創設メンバーとなる57カ国の代表が北京に集合、うち50カ国が設立協定に署名した。タイ、フィリピンなど未署名の7カ国について、中国外交部(外務省)の報道官は、「国内手続きが済んでいないためで、年末までには署名する」と説明している。

拒否権を握っている中国

AIIBの資本金は1000億ドル。最大出資者の中国は議決権の26.06%を握る。規約では、重要案件には議決権の4分の3の賛成が必要とされており、中国は事実上の拒否権を握る。理事会のメンバーも本部を置く北京に常駐はしない。そのため、中国が運営を牛耳るのではないか、との懸念が一部にある。

実際にそうなるかは、今後の日米の出方次第だろう。AIIBでは、世界銀行とADBのメンバーである国・地域は、理事会の賛成多数によって合流可能としており、日米の参加にも道を開いている。中国財政部の史耀斌次官は「新メンバーが加入すれば、中国の出資や議決権の比率は低下する」と明言した。日米が参加するならば、中国は拒否権問題で譲る用意がある、ということだ。

日米は、創設メンバーとなるための期限である3月末には、AIIBへの参加表明を見送った。6月4日に自民党がまとめた報告書では「政府が交渉参加を見送った判断は適切。今後も慎重に判断すべし」との結論が出された。党内では参加に前向きな議論もあるが、首相官邸の意向で現時点ではトーンを抑えた。

財界も「アジアのインフラ整備に役立つと思うが、状況が不透明な段階で参加表明を見送ったのは正解」(日本経済団体連合会・国際協力本部の森田清隆・上席主幹)と足並みをそろえる。

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