ソニー、巨額調達に飛び交う「2つの憶測」 会社側はセンサー事業の拡大に充てると説明
「いくら何でも1300億円の研究開発費は多すぎる。2000億円近い設備投資額にも過大感がある。ましてや4400億円となると、ソニーの真意が読めない」(市場関係者)
ソニーが6月30日に発表した資金調達は、その使途をめぐり、さまざまな憶測を呼んでいる。同社は公募増資と転換社債を合わせ、最大4400億円を調達する。公募増資は実に26年ぶりの決断だ。
逼迫するイメージセンサーの需給
会社側は、その大半をイメージセンサーなど、デバイス分野につぎ込むと説明。1000億円超の最終赤字を計上し、構造改革に追われた前期から一転、成長事業で一気にアクセルを踏む方針だ。
実際にイメージセンサーの需給は逼迫している。特にソニー製のセンサーは小型・高感度など技術面で評価が高く、ハイエンドのスマートフォン向けで独り勝ちの状態。「液晶パネルと比べ、技術進化の余地も大きい。現状3割のスマホ向けシェアは、増強後には約5割に伸びそうだ」と、バークレイズ証券の伊藤和典アナリストは見る。
今後の需要増の柱となりそうなのが、米アップルのiPhone向けだ。現在、ソニーと米オムニビジョンの2社が供給しており、量ではソニーが圧倒しているとみられる。さらに2016年発売の「iPhone7」(仮称)は、フロント部分にカメラを二つ搭載する「デュアルカメラ」を採用するとの見方が強い。
「iPhoneで採用されれば、一気に普及し、需要が急増する。今回の増資で生産能力を増やしても、供給が足りなくなる可能性がある」(IHSテクノロジーの李根秀・主席アナリスト)
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