"勝つアスリート"の卓越した「思考の整理」 日本選手権で活躍した選手たちの「頭の中」

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日本陸上選手権で勝った選手は「思考の整理」でも卓越していた。写真左から男子100mで優勝した高瀬慧、同200mで優勝した藤光謙司(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

6月下旬に日本陸上競技選手権が行われた。文字通り、「日本一」を決定する大会だが、今回は8月下旬に中国・北京で開催される世界陸上競技選手権(以下、世界陸上)の「最重要選考レース」になっていた。

ちょっとややこしいが、日本一になったからといって世界陸上に出られるわけではない。世界陸上に出場するためには、エリアチャンピオン(日本の場合はアジア選手権で優勝すること)になるか、参加標準記録を突破しないといけない。簡単にいうと、世界規格のレベルでないと出場できない仕組みになっているのだ。

今大会で最も注目を集めていたのは男子のスプリント種目だった。4月に強い追い風を味方につけて9秒87(+3.3/非公認)と爆走した桐生祥秀(東洋大)はケガのため欠場したが、今季100mで10秒09(日本歴代7位タイ)、200mで20秒14(日本歴代2位)をマークしている高瀬慧(富士通)に好タイムの期待が高まっていたからだ。

先に男子200mが行われ、V候補の高瀬は敗れた。勝ったのは“2位候補”の藤光謙司(ゼンリン)だ。藤光は5月に行われた東日本実業団選手権で高瀬と直接対決をしており、0.21秒差をつけられている。0.01秒以下の僅差でも明暗がわかれるスプリント種目では小さくないタイム差だが、6月の日本選手権では藤光が完勝した。

藤光は「思考の整理」が非常にスッキリとしていた。

「(本当に)勝負するのは日本選手権なので、東日本実業団(選手権)はトレーニングの一環で出場しました。でも、彼(高瀬)は記録を狙う気持ちが強かったと思います。好タイムを出されても、特に意識はしていなかったですね。自分のレースをすれば勝てると思っていました。どんな状況でも自分のレースをすることに変わりはありません。日本選手権では自分のことだけを考えました」

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