「ザ・ステーキ六本木」は、やっぱりスゴかった 基本サイズが1ポンド(約450グラム)!

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たとえば脂身ありの肉に、にんにく入りソースを注文したい場合は、「ありあり」と言えば通じる。

また注文の仕方によっても味わいを調整することができる。たとえば「通」の客は、最初から1ポンドステーキを注文せず、1/2ポンドステーキを2回注文するのだという。というのは、鉄板に載せて提供されるため、食べている間に肉に熱が入ってしまうのだ。2回に分ければ、少々割高になってしまうとはいえ、好みに近い焼き加減で最後まで食べきることができる。

このような、個別のオーダーに応えて行くことがリピートの動機付けになり、常連客が増えることを期待しているそうだ。

肉録=肉の記録を行う「ポンドランキング」も導入している。カードに自分の食べた肉の量が記録されていくというもので、すでに通算58ポンドの肉を食べた、という強者の客もいるという。

第2号店は新宿歌舞伎町?

常連客と言えば、同店ではSNSの使い方にも一工夫ある。もともとダイヤモンドダイニングでは、運営する店舗全店でフェイスブックのページを持ち、日々、情報を更新している。それらのノウハウを活用して、SNSでのファンを増やしているのだ。「毎日毎日、料理の写真ばかりを掲載しても飽きられてしまいますから、来店されたお客様の写真や、料理に関するこだわり、マル秘情報などを更新しています。さらに、お客様の反応を店舗経営にも活かしているんです」(阿部さん)。

ダイヤモンドダイニング マーケティング戦略本部 プロモーション担当本部長の阿部克巳さん

「お客様がフェイスブックにあげたステーキの写真で『これは焼き方が甘いんじゃないか?』など、ヒントになることも多いです。盛りつけが左右逆になっているのに気づいたこともありました」(河内さん)。

お客の写真で料理の不出来に気づくなど、プロとしては反省すべきところかもしれない。しかし考えてみれば、たとえばカウンターごしに、味やサービスについてやりとりし、客の意見を取り入れて店が成長していくということはあるだろう。それがSNSという新しい形で行われているということかもしれない。

「課題はいろいろあると思いますが、やはり肉の味については追求を続けていきます。たとえば同じ種類の肉でも、コンディションなどで味が日々違います。ブラッシュアップを続けながら、『うちの味』を見つけていきたいと思っています」(阿部さん)。

2号店の計画は未定だが、同じ形態で出店するとなれば、新宿歌舞伎町あたりが濃厚だという。ただ「100業態100店舗から300業態1000店舗へ」を成長目標として掲げるダイヤモンドダイニングとしては、同店の経営を通じて「どの地域でも通用するビジネスモデル」を模索するという目的がある。「この店ならでは」をどこまで追求できるかに、新業態への転換という大きなチャレンジの成功が掛かっていると言えそうだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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