グーグルは、テクノロジーで女性を支援する "産む性"は変わらないが働き方は変えられる

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とはいえ、自分の働く環境を変えるのには時間が掛かる。育休を取得して職場復帰することが、ようやく当たり前になりつつあるものの、育休をとったばかりに出世や昇進とは縁遠いキャリアコースに転換させられるなど、気が付けばマミートラックに乗せられていたり、病気がちな子どものために「職場の人たちに申し訳ない」という気持ちにずっと苛まれてしまったり。

そんな、日本の働く女性が遭遇しがちな状況を伝えると、フレデリックさんは「私は日本の状況を完全に詳しく把握しているわけではないが」と前置きした上でこう語った。

“産む性”は変えられないが、仕事の仕方は変えられる

「世の中がどれだけ進化しても自然の摂理は変わりません。つまり、女性が“産む性”であることは変えようがないですよね。けれど、私たちにはテクノロジーがある。テクノロジーを活用して、私たちはいつでもどこでも仕事ができるようになりました。テクノロジーの恩恵で、私の妻も出産後も変わらずにキャリアを積んでいる。私たちは、妻のような女性を増やすために、また、女性に限らずあらゆる事情を抱えているすべての人たちのために、さらなるイノベーティブなテクノロジーとソリューションを提供していきたいと考えています」

新しい製品やサービスを考案する際は、ユーザーのニーズをくみ取ることが大切だが、本当の意味でニーズを把握するには、ユーザーに共感し、相手を深く理解する必要がある。グーグルの育休制度も、ワーキングマザー社員をユーザーととらえ、担当者がつねにアイデアを出し合って独自の進化を続けているという。

「今抱えている問題を真剣に解決したいと欲する。その姿勢は、お客さまに対しても社員に対しても変わらないのです」

最近では『Woman Will』という、働く女性をサポートするプロジェクトも話題のグーグル。なかなか変わらないように見えても、確実に変化は起きている。誰もがストレスなく働ける世の中が実現される日は、そう遠くないのかもしれない。

(取材・文/阿部志穂 撮影/赤松 洋太) 

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『Woman type』編集部

「Woman type」は、キャリアデザインセンターが運営する情報サイト。「キャリア」と「食」をテーマに、働く女性の“これから”をもっと楽しくするための毎日のちょっとしたチャレンジをプロデュースしている。

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