共働き夫婦をトコトン悩ます「37.5℃の壁」

親にだけ子育てを押しつける社会は健全か

子どもの急な発熱。共働き夫婦にとっては致命的です(写真:hug++ / PIXTA)
「37.5℃」は子どもを保育園に預けて働く共働き夫婦にとっては、馴染みのある数字だ。通常は健康な子供が通う場所。だから、子供の体温が微熱と呼ばれる37.5℃のボーダーラインを越えると、保育園は子供を預かってくれない。預けた後に発熱してしまったら、親はたとえ仕事中でも子供を迎えに行かなくてはいけなくなる。保育園で預かれない理由は、「他の子供への感染防止」と「保育園のリスクマネジメント」であり、法律で決められているわけではない。
TBSテレビで7月9日(木)よる9時からスタートする連続ドラマ『37.5℃の涙』は、子どもが熱を出したときにどうしても仕事を休めない親に代わって、自宅に訪問して子どもの世話をする『病児保育士』を主人公にした連続ドラマ。主人公の目線を通し、共働き夫婦にとって何ともやるせない問題にも切り込んでいる。
原作漫画(著者:椎名チカ)のモデルになった、日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービス「NPO法人フローレンス」の代表理事である駒崎弘樹氏は、この「37.5℃の壁」が抱える問題点を指摘する。

子どもの発熱で1週間休んだだけで解雇に!

——子供が37.5℃以上の熱で保育園に行けなくても、仕事を持つ親は休みを取れないこともあるし、仕事を中断して子供を迎えに行くこともできない。これが、トコトン親を悩ます『37.5℃の壁』の一部ですが、実際に育児の現場では、どんなことが起きているのでしょうか。

こまざき・ひろき●1979年、東京都江東区生まれ。日本の社会起業家、NPO法人フローレンス代表理事。慶応義塾大学総合政策学部在学中に、ITベンチャーの社長になる。同大卒業後、「病児保育問題」を知り、NPO法人フローレンスを立ち上げる。2007年、Newsweek日本版「世界を変える社会起業家100人」に選出。

ベビーシッターをしている僕の母から聞いた話です。僕が病児保育を始めたきっかけでもあるのですが、まさに深刻な例です。

双子のママの子供が37.5℃の熱を出したので、彼女は会社を休んで看病しました。双子なのでうつし合ってしまい、1週間ほど会社を休まざるをえなくなってしまいました。すると会社が激怒して、そのママが実質的に解雇されてしまったのです。

僕は思いました。子供が熱を出すのは当たり前なのに看病のために仕事を休んで職を失う社会なんてありえない!と。これが、世界第3位の経済大国の話だと思うと、情けなくないですか? 僕は子供の頃から、働く母親の背中を見て育ってきたので、母親が働くことは当たり前で必要なことだとわかっていました。

でも世の中が、母親が働くことを制限し、虐げている。これは地味だけど、実は当事者にとっては大変大きな課題である、と感じています。フローレンスを立ち上げたのは、「世直しをするしかない」という気持ちからです。

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