三井不動産、ロンドンの再開発で大勝負 複合的な街づくりで海外事業の飛躍を期す

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業績が低迷している三菱地所とは対照的

三井不は2015年3月期決算で、過去最高純利益を更新し、目下、業績は絶好調。オフィスビル開発やマンション分譲といった主力事業だけでなく、施設管理などのストックビジネスでも手堅く稼ぐ。ライバルの三菱地所が新施設竣工の端境期で営業減益を続ける状況とは対照的で、業界関係者からは「総合デベとして独走態勢に入った」との声も聞かれる。

新中計では地域再開発や商業施設、物流施設、住宅、ホテルなどをくまなく強化する、全方位型の成長戦略を描く。海外展開の加速もその一環だ。新中計の最終年度となる18年3月期までの3年間では、これまでの2.8倍となる5500億円を投資。海外の事業利益を現状の120億円から300億円に、利益に占める海外事業の比率を現状の6.4%から12%へと、一気に引き上げる計画だ。

同社としては目玉となる今回の案件で、海外事業に弾みをつけたいところ。土地の特性や商慣習もまったく異なるロンドンで、日本流の一体感ある街づくりを首尾よく進め、かつ、地元の評価を得ることができるのか。期待と不安が交錯する。

「週刊東洋経済」2015年6月27日号<22日発売>の「核心リポート04」を転載)

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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