実はアップルが「圧倒的優位」に立っている分野 EV撤退、AI開発出遅れでも撒いている種

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高性能なアップル製プロセッサーがゲーム開発において有利であることも盛んに宣伝している。Apple Arcadeと呼ばれるゲームのサブスクリプションサービスを通して世界中のトップゲームクリエイターたちとのネットワークも築いてきた。

ユーザーからの需要が大きくなればTVに接続して映像コンテンツを楽しむために使われていたApple TVを高性能ゲーム機に進化させるといったこともできる下地を築きつつある。

他社の10年先をいく環境への取り組み

こうした中で、アップルに今後も業界リーダーとしての地位を保証し続けることになりそうなのは、同社の環境への取り組みだと考えている。

アップルはすでに事業で必要とする電力を完全に再生可能エネルギーに移行しており、2030年までには同社のサプライヤー企業分の電力も再生可能エネルギーで賄う計画を発表している。また、新規開発の製品で使われているアルミやレアメタルなどの部材を同社のリサイクルプログラムから獲得するようになってきている。

気候変動への対応として環境への取り組みが重視される中、今後は他の製造業も少しずつこうしたものづくりの方向に転換する必要が出てくるが、アップルはすでに他社よりも10年ほど進んだ取り組みをしており、これが今後も製品の製造販売を主な事業としている同社に大きなアドバンテージを与え続ける、というのが筆者の見立てだ。

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林 信行 フリージャーナリスト、コンサルタント

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はやし のぶゆき / Nobuyuki Hayashi

1967年、東京都出身。フリーのジャーナリスト、コンサルタント。仕事の「感」と「勘」を磨くカタヤブル学校の副校長。ビジネスブレークスルー大学講師。ジェームズダイソン財団理事。グッドデザイン賞審査員。「iPhoneショック」など著書多数。日経産業新聞「スマートタイム」、ベネッセ総合教育研究所「SHIFT」など連載も多数。1990年頃からデジタルテクノロジーの最前線を取材し解説。技術ではなく生活者主導の未来のあり方について講演や企業でコンサルティングも行なっている。

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