実はアップルが「圧倒的優位」に立っている分野 EV撤退、AI開発出遅れでも撒いている種

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空間コンピューティングと並んで重要になるのがAI関連の開発だ。アップルはAI開発に関しては遅れているというイメージを持つ人が多いかもしれない。

しかし、人々が気づいていないだけで、すでに現在のiPhoneにも多くのAI機能が内蔵されている。

例えばiPhoneで音声アシスタントのSiriを呼び出して「建物の写真を見せて」と言えば、これまで撮り溜めた写真から画像認識をした建築写真を選んで表示してくれる。気になった花を撮影すると、写真の下に「i」という文字が現れて、それが何の花かを教えてくれるといった機能が備わっている。

ハード的にも2017年以降のアップル製プロセッサにはNeural Engineと呼ばれるAI関連の処理に最適化した機構が用意されており、iOS、iPadOS、macOSにもCore MLというNeural Engineを用いて高速にMachine Learning(機械学習)処理をするさまざまなソフトウェア機能があらかじめ用意されている。Macのハード/OSがAI処理に向いているため、Mac上でAI関連の開発や実験をする研究者やホビイストも増えつつある。

AI関連の人材採用には積極的だった

そもそもアップルは1990年頃から、AI関連の人材の採用に積極的だった。SGI、マイクロソフト、グーグルと渡り歩いたAIの第一人者、カイフ・リーも最初に勤めたはアップルだった(1990〜1996年)。

AIは2006年以降、ビッグデーターとディープラーニングという技術の登場で、飛躍的な進化を遂げ第3次AIブームと呼ばれる時代に入ったが、そうなって以降もアップルは積極的にAIの研究者を雇い続けている。

ただし、研究成果の公開など情報の扱いについての制約が多い社風が研究者に馴染まないのか、すぐに辞めてしまう研究者も多い。2016年から3年強在籍して自動運転を含むAI研究部門のディレクターを務めた後に退社したルスラン・サラクトゥディノフ(Ruslan Salakhutdinov)もその1人だ。

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