電子政府で費用削減と迅速多様な行政サービスを実現目指せ

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 いつまでも古い法律に縛られていては効率化はおぼつかない。行政刷新会議でも検討されてはいるが、具体的な改革プログラムに至るまでまだまだ時間がかかる。

国民コード導入で逆転可能か

もう一つ、電子政府化推進のネックとなっているのが住民番号の問題だ。住基ネット訴訟や非加入自治体の存在など、国家による国民の番号管理には根強い反感があり、完全導入はなかなか難しい。

だが、住民基本台帳の住民票コードや、基礎年金番号、国民健康保険など、現実には、国民はすでに識別番号を持っている。ただ、それが現時点ではバラバラに管理され、機能しており、連係がまったくない。

この問題を解決すると期待されているのが、6月末に発表された社会保障・税番号大綱だ。今年度中には法案が整備されて、14年には識別番号を付与、15年1月から社会保障と徴税で利用が開始される段取りだ。

「マイナンバー」という愛称をつけられた共通コードの導入による電子政府化の進展で、行政サービスの業務効率化効果は年間3兆円に上るとの試算もある。一方、共通番号構築コストは4000億~6100億円と中間取りまとめ段階で予測されていた。

が、現実にはシステムの構築に1兆円以上、加えて識別用ICカードの発行費がかかる可能性があると富士通総研経済研究所主席研究員の榎並利博氏は指摘する。

これまでバラバラに存在していた税金や社会保障系の番号と新しい国民IDを関連づけ、さらに住基ネットの住民票コードとも関連づける作業が必要だが、これに想像以上の時間とコストがかかる可能性がある。

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