電子政府で費用削減と迅速多様な行政サービスを実現目指せ
すでに住民番号制が導入され、クレジットカード利用率が非常に高い韓国では、地方の小さな小売店でもクレジットカードが使える。
脱税問題の解消を目的として政府主導で決済のキャッシュレス化が進められ、導入時には大幅な税減免などのインセンティブを用意して普及を図った。この結果、10年の国連電子政府調査ランキングで韓国はトップとなった。
一方、世界トップクラスのハードとシステムの技術を持ちながら、日本ははるかに及ばず17位。
政府業務電子化の目的は、効率化、経費節減、そして最終的には財政再建だ。国と地方の長期債務残高が892兆円に上り、さらに巨額の震災復興費用が必要とされる中で、もはや躊躇している時間はない。
世界的なクレジットカード会社、VISAのサービスの一つに、ガバメントプログラムがある。出張などのためのカードや物品調達、市民向け給付金支払いなど2000ものプログラムを持つ。
たとえば調達では、小口決済用に担当部署ごとのクレジットカードを発行する。使用者が特定でき、上限金額の設定もできる。利用の履歴が残るため、不正使用もできない。VISAでは世界30カ国以上に提供している。
このプログラムの導入によって、米国連邦政府は09年度購買管理コストで1400億円相当を削減。また出張用カードの航空チケット手配効率化プログラムにより、08年には4200億円の経費を節減した。
日本で「こうした新しい決済システムの導入を阻害しているのは法律」と、VISAワールドワイド・ジャパンディレクターの加藤靖士氏は言う。たとえば、旅費法によって、出張旅費のカード決済が認められていない。