フィリピン「ラスプーチン」で新旧大統領派が激突 指名手配犯の新興宗教教祖がカギを握る政局

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前大統領は2016年、ダバオ市内の3つの不動産と2台の車をキボロイ氏から贈られたことを明らかにしている。「教祖は気前がよい。買い物をするときは2つ買って、1つを私にくれる」と話していた。

ドゥテルテ氏はまた、持病の治療でアメリカの高名な脳外科医を紹介してもらい診察費を負担してもらったと告白している。要は、ずぶずぶの関係なのだ。

偽情報拡散と左翼とのレッテル貼り

FBIから指名手配されても、国内では政権交代後も教祖や教団は安泰とみられていた。先の選挙ではボンボン氏とドゥテルテ氏の長女サラ氏の正副大統領候補のコンビを教団ぐるみで応援し、マルコス氏とドゥテルテ氏の蜜月が続く限り、捜査の手が及ぶこともないと見られていた。

ところが両派の関係が2023年の途中から急速に悪化したことで風向きは変わった。SMNIの番組でドゥテルテ氏自身や側近がマルコス派を批判したことが引き金となった。

2023年11月、ドゥテルテ氏に取り立てられた前政権の元高官らがSMNIの番組で、下院のマーティン・ロムアルデス議長が外遊で18億ペソ(約48億円)を費消したと批判的に取り上げた。

下院はマルコス派の牙城であり、大統領のいとこであるロムアルデス氏は側近中の側近だ。実際の支出は3960万ペソ(約1億0600万円)だったことから、下院は偽情報を拡散したとして公聴会で発言者らを厳しく糾弾し、議会侮辱罪で一時拘束した。

これに先立つ2023年10月には、SMNIに定期出演するドゥテルテ前大統領が下院を「腐った組織だ。ロムアルデスを監査しろ」と批判、サラ氏率いる副大統領府の機密費を追及してきた野党の女性議員を名指しして、「私はおまえら共産主義者を皆殺しにしたい」と罵った。

下院は2024年3月20日、偽情報の流布や露骨なレッドタギング(左翼とのレッテル貼り)、議会の承認を得ない所有権移転などを理由にSMNIの免許取り消しを圧倒的な賛成多数で可決、上院に送った。

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