水原氏解雇は想定外?大谷翔平インスタの影響力 フォロワー伸びた3つの時期、関係者も上昇

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大谷選手の妻は元スポーツ選手ではあるがメディアに日常的に出ていた人物ではない。大谷の打席ごとに姿がカメラに抜かれ、持っていたバッグのブランドを特定されているのを見ると、妻がSNSの投稿を事前に全削除したのは賢明な判断であり、大谷選手が日本のメディア取材を避けるのも納得できる。

ネット世論も同様だ。現在は好意的なコメントばかりだが、大谷選手本人や家族が目にできる空間で、自分の価値観を基準に論評する匿名の発信者は、いつ手のひらを返すかわからない。

大谷選手はWBCを契機に、試合以外のオフショットの公開が増えるなど、投稿の内容を少しずつ変化させて意志を示すようになっている。

特に2023年12月、週刊誌が水原氏の妻を「元ファイターズガール」だと報じ、それを前提に複数の女性週刊誌が大谷選手関連の記事を掲載したときには、その記事を取り上げてストーリーで否定する投稿を行った。結婚を控え、思うところがあったのかもしれない。

予想外だった水原氏のスキャンダル

水原氏は大谷選手のサポート役に徹し、目立つ行動はしていなかったように見える。けれども、大谷効果でインスタのフォロワーを40万人以上獲得していた彼は、知らず知らずのうちに一心同体に近い感覚を持っていたのかもしれない。

3月21日の水原氏の解雇を巡る情報は錯綜している。2023年末にドジャースと1000億円超の大型契約を結んだ大谷選手と常に行動を共にする中で、金銭感覚が麻痺したり、大谷選手の財布を当てにする感覚が生じてしまったのだろうか。

その水原氏の妻は、大谷選手の結婚をきっかけに「同行者」「見守り役」的な存在で、3月15日以降同選手や球団、専属カメラマンのインスタに登場し始めた。大谷選手の妻と並んで観戦する姿がメディアにもそうとう“抜かれた”。

もし水原氏が解雇されることを大谷選手が察知していれば、その後メディアで「水原氏の妻と大谷選手の妻」のツーショットが散々使われることを想定して、水原氏の妻を出すことはしていなかったように思う。

自身の結婚という人生最大級のイベントを巧みに情報制御した大谷選手も、長年連れ添ってきた水原氏のスキャンダルは想定もコントロールもできなかったのかもしれない。

ドジャース移籍と結婚を自ら発信してきた大谷選手は、苦楽を共にしてきた水原氏の騒動についても言葉を発するのだろうか。衝撃を受けながらも「何があったのか聞きたい」と望むファンは少なくなく、3月21日だけで、大谷選手と水原氏のアカウントのフォロワーはそれぞれ数千ずつ増えている。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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