エイチーム、なぜいま「東京進出」なのか 林高生社長に直撃インタビュー

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――800人にしたときのバランスイメージは?

名古屋では、大量採用は難しい。新卒が採れたとしても100人くらいでしょうから、だいたい名古屋で300人、大阪は150人でしょう。そうすると残りが東京かもしれないです。

しかし、800人という試算は月商10億円のゲームがホームランといわれていた2013年のものです。今では月商50億円というタイトルも生まれているので、計算の前提が変わっている。きちんとヒット作を生み出せば、半分の400人で目標の売り上げを達成できる可能性があります。

海外で売る仕組みもできてきた

――ヒットを量産できる?

1つのタイトルが2倍、3倍とヒットすればいいな、と考えています。今は国内市場だけではなく、香港や台湾などでも連続してリリースできるような体制になってきた。海外市場も視野に入れれば、1つのタイトルがよりヒットするような仕組みを作ることはできるはずです。

こう考えると、400人とか800人という人数は、あくまで目安ということですね。良い人が来てくれれば、どんどん採ります。良い人が集まらなければ、無理して採るようなことはしません。人数ありきではないのです。

また今回は単純に品川に拠点を作るのではなく、スタートアップを立ち上げるようなイメージで若手に任せていこうとも思っています。新しいものを生み出すというイベント性を持たせようと考えています。

――即戦力になる経験者を採用するのでしょうか。

もちろん、ゲーム開発の経験者も大歓迎ですが、未経験であってもいいのです。大阪では大手SIに勤めていたエンジニアを採用しましたが、彼らがいま大活躍しています。私自身、もともと顧客企業のシステムを請け負いで作るシステムエンジニアをやっていたのでわかるのですが、自分のアイデアでソフトを作りたい、という欲求が溜まっていくんですよ。

むしろ、そうしたエンジニアはチームで仕事をする喜びを知っているので、チームプレーを重視するエイチームのカルチャーに合うのかもしれません。

大名古屋ビルの完成予想図。最上階は別の会社が入るが、その下の2フロア分がエイチームの新本社になる

――12月には本社を大名古屋ビルの31~32階に引っ越します。どのような仕掛けがありますか。

カフェテリアを設けて、そこで調理した食事を出すようにします。フロアを階段でつなぎ、階段にはサプライズも用意しています。

カフェテリアと階段にはこだわりました。逆にいうと、だから大名古屋ビルを選んだのです。いま名古屋駅周辺では3つ超高層ビルが建設されていますが、ビル内に調理スペースを設けることができてフロアを階段でつないでもいい、という条件をクリアできたのが、大名古屋ビルだけだったのです。

こうした本社が贅沢なように思うかもしれませんが、われわれの会社は社員がすべて。社員が働きやすい環境を作って、多くの人がエイチームで働きたいと思ってもらえるようにしたいと考えています。

新本社イメージ。フロアの中央には階段(写真左)があり、上下のフロアを繋いでいる
山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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