カプコン、「ヒット作の不在」に打つ手はあるか 辻本春弘社長に今後の戦略を聞く
――スマートフォンゲーム市場が成熟化する中、ヒットを出せていない。
ヒットを出したいが、思ったようにいかないのがビジネスのさが。われわれは、ゲーム専用機やPC、スマホなどマルチプラットフォーム戦略でやっているが、どうしても得手不得手が出てくる。ただ、得意なところを削ってまで不得意なところへリソースを割り振るのかというと、そうもいかない。
スマホゲームは焦らずに戦略的ポートフォリオを考えながら辛抱強くやっていく。場合によってはゲーム専用機のノウハウをスマホゲーム側の開発・運営に利用できる可能性もある。経験やリソースを共有するなど、地道な努力を続ければヒットにつながる可能性もある。
――年内に新作スマホゲームで「モンスターハンターエクスプローラー」のリリースを予定している。本命タイトルだけに、ヒットを狙っているのか。
大きな期待を持つと計画に対するボラティリティが出てくる。自分たちとしては(スマホゲームで)成功していないので、計画はある一定のところに抑えている。ただ、モンハンのエクスプローラーは完全に内製で進めており、開発ノウハウが蓄積されてきている。
もっともっと経験を積む
――スマホゲーム開発の難しさとは?
家庭用、業務用ともにずっとゲーム専用機の開発をしてきた。スマホは汎用デバイスなので操作方法が限られている。移動中にゲームをする場合も多く、バッテリーやメモリの容量、通信速度に制限がある。こうした条件下で面白いものを提供する必要がある。もっともっと経験を積まないといけないのが実情だ。
――任天堂のDeNAとの提携をどう見ているのか。
任天堂さんは自社のハードでしかゲームソフトを動かせない。これから進出しなければならない新興国のゲーム市場を考えると、海賊版の問題も出てくる。ならば今は収益が上がらなくても、自社のゲームソフトの認知度向上にスマートデバイスを活用するのは、1つのマーケティングでありプロモーションになる。次の施策に向けた対応であることがよく分かる。
われわれは任天堂さんとは違うやり方で、ワンコンテンツ・マルチユースの戦略を考えている。ハードが普及していない地域では、映像やキャラクタービジネスなどゲーム以外でユーザーへ訴求していく。
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