だからローソンは"万年2番手"を脱せない <動画>セブンのしないことにリソースを割け

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セブンーイレブンに続き、ローソンがレジ横のスペースでのドーナツ販売を全国8000店舗へと拡大中だ。昨年コンビニ各社で一気に白熱したコーヒー戦争に続き、今度はドーナツ……。夏野剛氏は、「2番手としては、ちょっと残念な施策」と語ります。

 

セブン-イレブンが昨年末からドーナツを扱い始めたというのは、もう大きく知られるところですが、それにローソンが追従、というニュースについて、今日は一言申し上げたいと思います。

日本のコンビニ市場は、セブンが圧倒的な強さを誇っています。何が強いかというと、1㎡当たりの売上高がほかのコンビニの約2倍もあるのですね。ですから、セブンが扱う商品は全部、ほかのコンビニが追いかける。この構図が長らく続いています。

特にセブンが戦略的に長けているのは、ほかのコンビニチェーンが導入したヒット商品も遅滞なくまねていくというところなので、セブンとほかのコンビニとの差、1㎡当たりの売上高、あるいは1店舗当たりの売上高は、なかなか縮まりません。

このままではローソンに行く意味がなくなる

この記事は週刊『夏野総研』とのコラボレーションでお届けします

そんな中、セブンが先に導入したドーナツという商品を、ほかのコンビニが追いかける……。その気持ちはわからなくないのですが、2番手、3番手がトップとの差を詰めたいのなら、まったく同じものでまねるのではなく、独自性を出す道を選ぶしかないと思います。

そういう意味では、ローソンが今回追随してドーナツを導入、というのは、ちょっと残念な施策だという気がします。ドーナツで勝負するくらいだったら、ほかのもので行きませんか。チュロスでもなんでも、ドーナツに似たものが、ほかにいくらでもあるじゃないですか。

セブンだって、ドーナツにリソースを割けば、ほかの似たようなものにまで展開するのは難しいはずです。とにかく何にしても、1番手がやらないことをどんどんやり続けるというのが、おそらく2番手3番手が1番手との差を縮める唯一の方法だと思うのです。

そういう意味では、コーヒーに続いてドーナツにも参入……、わからないではないのですが、同時に、あるいはそれを捨ててでも、1番手がやらないことをやるという道を追求してほしい。

そうしないと、ローソンに行く意味、ファミリーマートに行く意味がなかなか見いだせなくなってしまうと思います。でも「セブン一強」というのは、ユーザーにとっておもしろくない。ぜひ、2番手3番手、頑張ってください。

夏野 剛 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授

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なつの・たけし

早稲田大学政治経済学部卒業、東京ガス入社。米ペンシルベニア大学経営大学院ウォートンスクール卒(経営学修士)。NTTドコモでiモードの立ち上げに参画。執行役員マルチメディアサービス部長を務め、08年に退社。現在は慶應義塾大学政策メディア研究科特別招聘教授のほか、ドワンゴ、セガサミーホールディングス、ぴあ、トランスコスモス、DLE、GREEの取締役を兼任。経産省所轄の未踏IT人材発掘・育成事業の統括プロジェクトマネージャー現任。ダボス会議で知られるWorld Economic Forum の“Global Agenda Council”メンバーでもある。


 

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