「40歳超えた人の記憶力は伸びない」が誤解な訳 受験生も社会人も結果を出せない人の記憶術は的外れ

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記憶力を高めないで結果として記憶にとどめて試験やテストの成績をもアップさせる。これを私は「記憶力外記憶術」と呼んでいます。

「記憶力外記憶術」を使えば、もともとの記憶力に頼らずに試験の成績を伸ばすという夢のようなことが可能です。というよりもむしろ、実は頭の良い学生ほど記憶力に頼らない「記憶力外記憶術」、とりわけ事前にしっかりテストに対応できるようにしておく「事前準備記憶術」を実践しているのです。

間違った記憶術をやめる

受験生も社会人も、結果を出せていない人は、間違った記憶術、勉強法を実践しています。

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例えば、最も間違った勉強法は「徹夜」です。あるいは睡眠時間を削って勉強することです。記憶の定着のためには、「6時間以上の睡眠が必要」と脳科学的に明らかにされています。

したがって試験前に徹夜で勉強しても、試験が終わった途端に、勉強したことは定着せずにほとんど忘れてしまいます。これだと、試験のたびに必死で勉強しても、それが自分の知識として全く積み上がらないのです。

さらに睡眠を削ると、翌日の集中力、作業効率が低下してしまうので、そんな状態で試験を受けると、何日も前から暗記していたことすら思い出せなくなります。

睡眠時間を削って4時間睡眠で勉強するよりも、十分な睡眠をとったほうがはるかに集中力が高まり、記憶力もアップすることは、多くの睡眠研究が示しています。

「徹夜で勉強する」「睡眠時間を削って勉強する」など、脳の活動性を明らかに低下させる間違った勉強法をやめるだけで、記憶効率や脳のパフォーマンス、いうなれば「脳力」を数日でアップさせることが可能です。

普段の勉強習慣や試験直前の時間の使い方を見直し、脳科学を活用した記憶術を実践するだけで、記憶力に頼らずにあなたの脳のパフォーマンスを飛躍的にアップさせることができます。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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