BRICsに投資しないことがリスク GSアセット・マネジメント会長ジム・オニール

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確かに中国は政治体制が違う。「違い」を嫌がる人は多い。だからこそ、私はオープン・マインドが重要だと考える。世界は今、大きく変わりつつあるからだ。

もう1つエピソードを挙げよう。パリのシャンゼリゼ通りにルイ・ヴィトンの最大店がある。その店の前に30分立っていると、中国人が近寄ってきて、店の500ドルのバッグを買ってきてくれたら100ドルあげるなどと言ってくる。

パリの学生の中には、そうした(ブランド品を大量買いする)中国人観光客目当てで商売している者もいるぐらいだ。ドイツのBMWも今や最大のマーケットは中国だ。

--ブラジルレアルのほかに、警戒的に見ている市場は何か。

成長市場の中ではインド市場だ。インフレも問題だが、同時に問題なのがガバナンス(統治体制)だ。中国は政治的な決断力があり、実行力がある。その点、インドは政治・社会のガバナンス構造が非常に複雑で、政府の政策も見通しにくい。

魅力的(fascinating)だが、複雑(complex)といえる。株式市場への投資については当面、インフレの落ち着きを待ったほうがいいだろう。

--有望市場に韓国を挙げているが、それほど割安か。

韓国ウォンがとりわけ円との対比で割安で魅力的だと見ている。加えて、韓国はいろいろな意味で目覚ましい成功を収めてきた。韓国は近い将来、国際的な株式指標における新興国のステータスから抜け、先進国の仲間入りをするだろう。

私が最初に韓国を訪れたのは89年だが、記憶に残っているのは韓国のビジネスマンが会合で2時間かけてひたすら名刺を交換していたこと。ものすごく保守的な国柄だと感じたものだ。しかし、今は違う。

韓国は、日本と中国の間に位置するという幸運に恵まれ、経済的に成功している。そして今や非常に洗練された国へと成長した。日本では韓国の歌手が人気のようだが、私がファンである(かつて役員も務めた)英国マンチェスター・ユナイテッドの韓国出身パク・チソン選手もスーパースターだ(笑)。

■日本に必要なのは「移民」「英語」「変革の意欲」

--東日本大震災後の日本経済についてはどう見ているか。

日本は今まさに大震災からの回復過程に入ろうとしているのではないか。原子力発電所事故に新たなサプライズが起きないかぎり、最悪期は脱却したと見ていいだろう。

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