意外と知らない「推し」と「萌え」決定的な違い 情報革命でファンの在り方は大きく変わった

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「リツイート(現在は「リポスト」)」や「シェア」が情報や意見を広めるうえで効果的であることが分かり、自分たちの意見を代弁してくれるように思えるアカウントを推したり、良くないと思われる人を批判してくれる人を推したりする手段になり得ることを、新規のユーザーたちも肌で感じ取ったのではないでしょうか。

そうやって私たちは、SNSが「いいね」のやりとりや承認欲求を充たすのに適しているのと同じかそれ以上に、リツイートやシェアをとおして何かを広めること、誰かを応援することに適していることを学んでいったのでした。

SNSありきで作品を楽しむ傾向の強まり

映画『シン・ゴジラ』や『君の名は。』はSNSでのバズをとおして大ヒットした作品でしたし、この頃から、ファンが繰り返し映画館に足を運んで応援するさまをSNSでよく見かけるようになりました。

クリエイターはSNSでの拡散をあてにして作品をつくるようになり、インフルエンサーもリツイートやシェアをとおして影響力を獲得できるよう計算した文章や写真や動画を投稿しました。消費者やファンも、SNSありきで作品を楽しむ態度やリツイートやシェアを楽しむリテラシーを身に付けていきました。

SNSの普及と慣れが「推し」がブームになっていく下地として重要だったのは、ほとんど間違いないでしょう。もちろんSNS以前にも私たちは野球チームやサッカーチーム、ひいきの歌手やバンドを応援することはできました。でも、SNS以前の社会で「推し」を推す手段が限られていたのも、また事実です。

リツイートやシェアはそうではありません。試合会場や映画館の盛況ぶりを遠くの人とも共有できますし、自宅にいてさえ、試合会場や映画館にいる人の投稿をリツイートやシェアで広めることもできます。

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