CEOがイケメンだと会社の業績がよくなる? 労働経済学の権威が教える美の経済学

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美形が実際に売り上げを増やすかどうかを確かめるべく、オランダの広告会社を対象に調査が行われている。広告会社の重役たちの容姿が会社の売り上げにどんな影響を与えているかを調べたのだ。

データが対象にしている期間(1980年代半ば~1990年代半ばまで)には、オランダに広告会社がたくさんあり、その大手の多くはアムステルダムやロッテルダム、ユトレヒト、そしてハーグといった大都市にあった。業界の競争は厳しかった。たくさんの会社がひしめき合っており、いずれも市場シェア10%なんて程遠い数字だった。しかしそんな企業の多くはニッチを持っており、そこでは価格支配力を持っていた。

重役たち(オランダで言うディーレクタール)は会社を切り盛りし、製作にかかわり、自分たちの仕事を売り込む。4人の人が彼らの容姿を写真に基づいて5点から1点の尺度で評価した。

対象の会社を全部合わせてみると、重役の容姿が84%の人たちより上であるのと16%の人より上であるのとでは、平均で売上高が7%違っていた。明らかにこの業界では、会社に見目麗しい重役がいると、売り上げは大幅に増えることになる。

大企業ほどCEOがイケてる?

それでは、CEOの容姿も会社の業績を左右するのだろうか? 1996年、スイスのビジネス週刊紙『キャッシュ』が容姿に関する初期の研究を見て、読者にコンテストを呼びかけた。読者はそれぞれスイスでいちばん美しいと思うCEOを選んで投票する。総投票数は900だった。

何が驚きだったと言って、いちばん美しいCEOに選ばれたのは、この新聞を発行する会社のCEOだったことだ! 同紙はインチキくさい結果をしきりに謝罪したが、同時に、2番目、3番目、そして4番目に選ばれたのはスイス最大の企業3社のCEOだったことも指摘した。

その3社には国際的製薬会社であるノヴァルティスと食品コングロマリットのネスレが含まれている。残りのもう1社のCEOはコンテストのすぐ後に職を変わり、世界最大の銀行のひとつであるドイツ銀行のCEOに素早く上り詰めている。

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